
コペンは車両重量がわずか800kgしかない。これがこのクルマの全てを物語っている。かつては800kg台のクルマは多かったが、今やかなり少なくなった。特にスポーツカーではアンダー1トンのクルマはほとんどなく、トヨタMR-Sくらいのもの。
で、800kgのコペンに乗って痛感したことは、やはり軽さというのは本当にスポーツカーにとって良いことなんだなぁということ。当たり前の事実なのだが、改めてそう思わされたのだ。
コペンはそのディメンジョンの小ささに加え、FF大衆車をベースとしていること、またオープンボディを採用したことなどによって、実は不利な部分が多くある。ディメンジョンの小ささは、スタビリティ的に不利だし、プラットフォームを共用するだけにいかんともしがたい部分もあるだろう。さらにオープンボディのため、剛性を確保するのも難しい。

しかし、である。そういったネガティブな部分は、軽さの前にほとんど帳消しになるといっていい。コペンで光り輝いているのは、そのコーナリングだ。速度自体は高くないが、ストレートを走っている状態からの減速幅が少なくコーナーに入ることができる。軽いからだ。
減速幅が少ないということは、体感としてのコーナリングはかなり速いものに感じられる。しかもコーナリング中のスタビリティはかなり高い。これも軽いからだ。
普通のクルマならば迷わず2速に落とすところでも、3速のまま行けてしまう。もっともこれは出ている速度が高くないということなのだが、体感としてはそういう風には感じない。

まるで手足の延長のようなこのキビキビした感覚は、本当に驚きを感じるほど鮮烈なものとして記憶に残る。
そう考えると、コペンの示すものは非常に大きい。軽さというシンプルな理由が、これほどまでに走りの気持ちよさを生むものなのか、という風にすら感じる。溢れるほどのパワーは確かに魅力的だが、それ以上に軽さは説得力を持つ。同じパワーウェイトレシオでも、軽量なクルマの方が圧倒的にスポーツ性が高いと良く分かる。その意味でもコペンの持つ意味は非常に大きい。