コンパクトカーはオンナ子供の乗る物……といった意識がここ数年、変わってきた。これまではクルマのサイズは雪だるま製作と同じで、コンパクトカーからどんどん大きくなる一方。最後は「いつかはク○ウン」というCMができるほど、「一番大きくて高級なクルマにのってゴール」だった。しかし。
「雪だるまは大きければ大きいほどいい」と信じていた人たちが、どうも大きいクルマは面倒くさいのではないか、ということに気付き始めたようなのだ。
大きいクルマは確かにステイタス性も高い。でも無理して乗る必要があるのか? 金銭的にも取り回し性にしても、そしてなにより必要性として。
「NO」と判断した人たちは、ある程度の大きさまで雪だるまが育ったらそれ以上、大きくすることなく、次はミニチュアサイズを作り始める。つまりコンパクトカーへの回帰現象だ。子供が中学生になり、親より友人と遊ぶ方が楽しくなるころ、親はミニバンから大型セダンではなく、コンパクトカーに乗り換えるのである。
そんな人たちに向けて発進されたのがティーダだ。サイズは小さく。でも、車内は広く、質感も十分に。特にシートは座面が非常に大きい。運転席はドアの部分に隙間がないくらい座面を広げられ、だからシートの高さ調整レバーはシフトレバー側へと移されている。
広いシート座面はそれだけでゆったりとした気分にさせてくれる。安易な方法だが効果は絶大だ。ちょこんと座るコンパクトカーはどうもオンナ子供のクルマのような気がしてならないが、これだけ座面があれば家ではハミにされているお父さんも自分の居場所として十分にくつろげることだろう。
リアシートも広い。日産サイドの説明によるとシーマと同じくらい広い。運転席の自分はよくても、同乗者をちゃんとおもてなしできなくては熟年向けコンパクトカーとして失格である。そう言った意味では「これでもか」的に大きく広くされたリアシートは合格点。さらには前後のスライドが可能なのだから文句はないだろう。
オマケ的な要素としては、SUVのムラーノにも採用されたサイドブラインドモニターは、利用価値が高い。サイドミラーの中に小さなカメラが組み込まれ、そこから左前の側面がナビの画面で見られるようになっている。具体的な映像は写真のとおり。実はここは完全な死角で、運転席から確認をすることは不可能だ。
でもこのカメラがあれば舗道の縁石との距離もつかめるし、障害物の確認も簡単にできる。なにより小さな子供がうずくまっているときも、しっかりチェックできるのが嬉しい。
ティーダは、走った感じはふつーだけど、そのへんの小さなクルマとはちょっと違う、オトナ仕様のコンパクトカーなのである。
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