基本的に私はクルマに好意的である。どんなクルマにも必ずいいところはあるし、どんなクルマに乗っていても楽しいし面白い。イタリアに住んでいたころボコボコの中古車を乗り倒していた自分としては、クルマはクルマであるだけで十分に魅力的な乗り物だと痛感しているわけだ。さらに。やはり技術者の方々の思い入れに敬意を表したいとも思う。みなさん、それぞれに愛情を込めて作り上げているのだ。そういう部分はやはり読者の方に伝えなければ。そう、伝えなければなのだ。しかし。
今年度初の「困ったちゃん」が登場した。名前はシトロエン・クサラVTRという。シトロエンのラインナップのなかでも、コンパクトな売れ線クラスを担うクサラ。今回03モデル投入と同時にクーペが追加されてきたのだ。そのクーペがVTRである。ク、クーペ? いまのご時世に? このご時世、クーペほど売れないクルマはない。プレリュードだ、セリカだと一世を風靡したのは遠い昔。いまや六本木に行こうが青山を歩こうが、プレリュードなど「プ」の字も見かけない。クルマが悪いのではない。カテゴリーとして2ドアクーペが売れないのである。いまやお父さんもお兄ちゃんもミニバン&コンパクトなのだ。
そこへきて、クサラVTRである。この日本市場をどう分析してわざわざもってくるのか。さらに気の強いことに「マニュアル」なのである。ひょえ~。どこをどうすれば、AT免許全盛の日本にMTを売ろうと思うのだろうか。すごい。