SUBARU(スバル)/フォレスター

新型フォレスターに欲しい個性

3代目のフォレスターが登場。スバル車に対してはどうしても強いスポーティイメージを要求してしまうためか、やや物足りなさも感じた。しかし、居住や積載性など先代の泣き所は確実に克服している。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド


大型化は歓迎できるか!?

フロントビュー
3代目となるフォレスターは、初代・2代目よりもパッと見からしてずいぶんと大きく感じる。ボディは全長4560×全幅1780×全高1675mm。価格は199万5000円~281万9250円と先代よりも若干アップ
また、大きくなってしまったか。新しいマツダ・デミオをのぞいて年々大きく、重くなるクルマが昨今目立つのは日本車とはいってもメイン市場が北米だから。日本を向いて作っていないとはいわないが、北米の声を重要視しがちという事情がある。

大きくなったが進化でカバー

アラウンドビューモニター
後からの眺めはフォレスターらしさを残している。新型はさらに力強さが加わり、サイズだけでなくデザインからも車格がアップした印象
3代目フォレスターは、新型インプレッサのプラットフォームがベース。車体とは関係ないがグリルもどことなく似ており、インプレッサとの血縁を思わせる。ボディはとくに全長が伸びやかになり、恰幅のよさも感じる。全長は75mm、全幅は45mmも広がった。ホイールベースも90mm延びた恩恵もあり、室内長が205mm延長されるなど、先代と比べて後席の広さは隔世の感がある。

大きくなったことでの心配事は、初代と先代が持っていた気軽さが薄まってしまうのではないか、という一点に尽きる。商店街でも住宅街の路地でもそれほど歩行者や他車を気にすることなく走れるという得難い魅力だ。メーカーも当然踏まえており、フロントトレッドの拡大でタイヤの切れ角を増し、オーバーハングを切りつめることで、つまり後輪をいっぱいまで後に配置することで小回り性能を確保したという。なるほど、最小回転半径はマイナス0.1mの5.3mと同クラスのSUVでは優秀な数値を達成している。

乗った感覚は結構大きくなったな! というもので、先代では路上駐車が多い一番左の車線でもスイスイとタクシーや軽カーあたりについて行けたのが、新型フェレスターでは心理的に躊躇してしまう。先代まであった「クロススポーツ」がたいていの立体駐車場に入れるような気軽さが失われたのは残念。

ディーラーもユーザーもボディ拡大のデメリットよりも、弱点だった後席の居住性向上、大きな荷物が苦手だった積載性アップに歓迎の意を表しているのが、今のところ多数派のよう。販売現場では「売りやすくなった」という声が多いそうで、それはエクストレイルやRAV4、エスクード、CR-Vといったライバルと同じ俎上に乗り、実用性の面でひけを取らないか、リードできるという想いからだろう。商売的な読みが立てやすいという期待だ。

先祖たちは確かに小回りが利く分、居住&積載性は中途半端だった。でも同じようなサイズのSUVはいくらでもあるので、「フォレスターお前もか!」というのは私の勝手な感想だろうか。

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