VOLVO(ボルボ)/ボルボ

ボルボXC70が拓く新境地(2ページ目)

ワゴンから派生したSUV「XC70」が、フルモデルチェンジ。価格は高めだが、ドイツ勢に負けない高いボディ剛性と上質な走りを身に付け、ボルボらしい上質な内外装を磨き上げている。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

大幅に進化した走り

インパネ
最近のボルボは、「個性的かつ上質」という独自の世界観をインテリアにおいて確立したように思える。V50などでもお馴染みとなったフリーフローティング・センタースタックを中心にデザインされたインパネは、人間工学に基づいたもの。独得なインターフェイスもあるが使いやすい
走り出すと主に全幅なのだが、ボディの大きさが気になる。車両左前の感覚は決してつかみやすいものではない。全幅1900mmクラスの背高SUVは珍しくないが、彼らは必然的にアイポイントが高く、他車や歩行者などとのすれ違いにおいては有利だったと実感させられた。視界は一般的なセダンなどよりもやや高めといったもので、大きめのセダンやワゴンからの乗り換えなら全幅は気にならないだろう。同時に気が付くのが、カッチリとしたボディの剛性感だ。

ステージを問わず走りやすい

シート
後席も十分な広さで、頭上や足元もゆったりとした空間が広がる。185cm級の大柄な人でもくつろげるはずだ。後席にはカップホルダー付きの大型アームレストが備わる
従来のボルボ車は「価格の割」にボディの剛性感が低く、走り出すとせっかくの上質な雰囲気を損ねると感じていた。しかし、V70をベースとしたXC70は確かな剛性感により、クルマとして一歩も二歩も上のステージに上がった印象だ。恩恵として遮音、静粛、快適性といった面に作用し、乗員すべてに優しいプレミアムSUVとして結実している。一言でいえばアメリカ車的なおおらかな走りから、ドイツ車的なしっかり感を抱かせるものへの変身といえるだろう。インテリアの雰囲気同様、ボルボらしさを走りでも構築しつつあると思う。ロングドライブでは、例えばクルマ酔いしやすい人へも優しい走りができるし、ドライバーの疲れも最小限に済む。

また、安全だけでなく、走行関係でも先進装備満載の新型XC70。とくに感銘を受けたのが、「FOUR-C」と「BLIS」だ。

「FOUR-C」は「コンフォート」、「スポーツ」、「アドバンスド」の3つから乗り心地をチョイスできるもの。個人的には硬い足まわりを好むが、「コンフォート」がXC70のキャラに合っていると感じられた。ダンパーの電子制御、エンジン出力の制御は珍しい装備ではないが、街中やワインディングなど好みに応じて選択できるのはありがたい。

「IDIS」はボルボらしい装備で、ドアミラーにあるカメラがドライバーの視界になる後方の対角線エリアを監視し、走行中の他車やバイクがその範囲に入るとピラーにあるランプが点灯するもの。街中では煩わしさを感じたので機能をカットすることもあったが、慣れると高速道路ではかなりストレスが低減した。また、パワステの重さを好みに応じて3つのセッティングから選べるなど、ドライバーが運転しやすい環境作りは巧みだ。ただし、いずれもメーカーオプション。予算に余裕があればチョイスしたい。

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