TOYOTA(トヨタ)/トヨタの車種情報・試乗レビュー

SUVの王者「ランドクルーザー」の真価(2ページ目)

200系といわれる待望のランドクルーザーが登場した。盗まれやすいクルマという巷間の話はそのステータスが海外でも高いという裏付けか!? それはともかく新型ランクルはランクルらしい正常進化を遂げていた。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

オンロードの走りも進化

走り
高回転時のパワーは十分以上だが、スポーツ系SUVのようにトルクの立ち上がりは急激ではない。巨体がゆっくり加速しているように感じてメーターを見ると結構な速度で、スピード感のなさも印象的だった
いまやSUVでもスポーティカー並み、あるいはスポーツセダンを追い回せるほど速くて、キレキレのハンドリングを示すクルマも少なくない。前者でいえばポルシェのカイエン・ターボやML63AMGなどの500馬力オーバーSUV、後者でいえばBMW・X5など速さと驚愕のハンドリングを両立するモデルがそう。ランクル200は乗った瞬間から想像よりも軽快に動くなという印象だが、あくまで常識、想像の範囲内だ。初期ロールも抑えられているほうだが、重心の高さを感じさせるし、もちろん山道を攻めるようなセッティングではない。

パワーに関しては、踏めばいくらでも得られるので必要十分といった印象。しかし、オフロード重視のセッティングのため、ホイールスピンするような猛烈な加速は影を潜める。100km/hまでの加速感でいえば、ヴァンガードの3.5Lのような「速い!」という感動はない。とはいっても決して遅いわけではなく、キックダウンすればいくらでも加速をしていくので、「能ある鷹は爪を隠す」というのがリファインされた4.7LのV8エンジンの姿だろう。実際に50馬力も向上し、燃費も若干良くなっている。静粛性に関しては、V8らしい野太さが若干耳に心地よく届く程度で、レクサスのエンブレムを付けても恥ずかしくないと思えたのはさすがにトヨタだ。乗り心地もコイルサスの恩恵か、MSタイヤの割には悪くはない。100km/hを超えるとどうしてもバタついたり、直進安定性に欠けるシーンもある。これだけ背が高く重心高も高く、タイヤの正確を考えればかなり良好な部類だが。比べるのは酷なのは承知の上で指摘すると、同じSUVとはいえジャンルが異なる最近の乗用車系高級SUVと比べると不満が残る。

驚きのクロールコントロール

オフロード
車名のランドクルーザーの名に恥じないオフロード性能をさらに磨き、熟成することが、新型の第一の命題といえるだろう。そのために採用されたクロールコントロールは、熟練ドライバー不要の驚異のアクセル&ブレーキコントロールを見せる
オフロード性能でのトピックスが、まずクロールコントロールだ。エンジンとブレーキを自動制御されるためドライバーはハンドル操作のみに集中できる。スタックしてもステアリングを左右に振れば簡単に脱出できてしまう。速度は1~5km/hの範囲内でロー、ミッド、ハイの3モードを用意する。慣れてくるともう少し速いモードがあってもいいかなと思えたが、この世界初の機能はあくまで運転補助装置という考え方なのでこの速度が妥当とのこと。自分の腕では躊躇しそうな下りの急勾配でも、岩場の登坂やモーグルコースであってもステアリング操作をのぞき、自動でガツガツと走ってしまう。その他オフロードに対応するABSやスリップを検知するとコンピュータが必要とされるタイヤへ駆動力を配分するアクティブTRC、ヒルスタートアシスト機能なども標準で備わる。
「KDSS」と呼ぶスタビライザーの作動機能は、日本での普段使いと年に数度のスキーなどではなくてもまったく支障はない。オフロードコースでガンガン走る、あるいはレスキューとして道なき道を行くのなら重宝するはずだ。

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