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羽田のハブ空港化問題を考える

近ごろニュースで話題の羽田空港ハブ化問題。そもそも「ハブ空港」とは?アジア主要空港における成田と羽田の現状、内際分離に至った経緯、韓国・仁川の台頭などをわかりやすく解説します。

千葉 千枝子

執筆者:千葉 千枝子

旅行ガイド

そもそも「ハブ空港」とは?

近ごろニュースで話題の羽田空港ハブ化問題。そもそも「ハブ空港」とは、車軸(ハブ)を語源にしたもので、各方面から航空路線が集まる乗り継ぎ効率がよい拠点空港を意味します。近距離で集まる航空需要(旅客や貨物)はハブ空港で乗り換えて目的の都市に運ばれるか、長距離でほかのハブ空港に運ばれるしくみで、多くの支線(スポーク)をもっているのが特徴です。またハブ空港は、旅客数や貨物取扱量が高いことから、空港使用料や着陸料の収入が見込め、ひいては自国経済を活発化させるというメリットがあります。

世界にはハブ空港が複数存在します。米国におけるシカゴ・オヘア空港やダラス・フォートワース空港、欧州のパリ・シャルル・ド・ゴール空港などを先進事例に、近年ではアジア各国が、来たるべき大交流時代を見据えて「国策」として主要空港のハブ化に注力するようになりました。とりわけ、アジアのゲートウェイ(玄関口)としての地位を確立するために、ここ数年、競争も激化。路線の誘致に着陸料を減免するなど、積極的な奨励策が国をあげて行われています。

アジアのハブ空港争奪戦と韓国・仁川の台頭

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ハングルや英語以外にも多言語対応する仁川国際空港

ハングルや英語以外にも多言語対応する仁川国際空港

アジア主要空港の旅客数上位は、香港・チェックラップコップ空港を筆頭に、シンガポール・チャンギ空港、日本の成田空港、そして韓国のインチョン(仁川)空港などがあります(表1)。特に仁川は日本からのアクセスもよく、ここ数年、欧米をはじめ世界各地と日本との中継点としても取り扱いを増やしています。

そこで懸念されているのがジャパン・パッシングです。日本の空港の着陸料は世界一高いといわれ(表2)、ハブ空港の必要条件である24時間運用もなされないことから、日本回避の航空会社が増え始めています。日本と地勢柄近しい仁川は、着陸料が成田の約3分の2。ついに2006年、貨物においては24時間発着可能な仁川が、夜間離陸制限のある成田を取扱高で上回りました。

前原国交相が「日本のハブは仁川」と警鐘を鳴らした理由は、それだけではありません。滑走路の本数は成田を上回り、さらに現在、ゴルフ場となっている敷地も増枠にあわせ、将来、滑走路にする計画で、仁川にはまさに成長への「余地」があります。金浦に比べると、都心から若干離れてはいるものの、騒音問題などを抱えて発着枠に制限がある成田と比較をすると、仁川は立地的にも優れているのが特徴です。
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