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エリシオン01 凝ったメカでエリシオン

アルファードとエルグランドの一騎打ちだった最上級1BOX型ミニバンに強力なルーキーが登場。ホンダから登場したエリシオンはラグジュアリーなイメージだけでなく技術でもクラスをリードしていた。

執筆者:川島 茂夫


オデッセイが低い低いミニバンになってしまい、ミニバンの開放感が得られない。されとてステップワゴンでは車格的に満足できない。困ったもんだ、と思っているホンダ・ファンもいるだろう。で、背の高いエリシオンのデビューなのだ。エリシオンはホンダ・ミニバン戦略では、オデッセイのラインナップから消滅した6気筒と悠々キャビンの上級ミニバンの両方をカバー。これまでアルファードとエルグランドのみだった最上級1BOX型ミニバンクラスへ宣戦布告というところだ。

クルーザーをモチーフにしたデザインコンセプトや3列キャプテンシート様に使えるシートなどの特徴を持っているのだが、ここではちょっとエンジンに注目したい。

搭載エンジンは3LのV6。型式はインスパイアに搭載されたいるエンジンと同じ。やはり気筒休止機構を採用している。

気筒休止機構とはV6の片側3気筒(横置きのリヤ側)の吸排気を停止させてしまうシステムだ。ちなみにリヤ側を休止させるのは触媒の温度低下を考慮して。フロント側だと走行風により触媒が冷めやすいのだ。

休止の仕組みはホンダ独自のVTEC機構を利用したもの。一般的には一体のロッカーアームをカム側とバルブ側に分割。通常稼働時はカム側/バルブ側のロッカーアームをピンで連結させて一体となって動かしている。休止状態ではピンが外れ、カム側の動きがバルブ側に伝わらなくなる。つまり、ロッカーアームの空打ち状態になるわけだ。そのため、吸排気弁とも常に閉じた状態になる。もちろん、休止気筒には燃料供給も停止する。

誤解されやすいので付け加えるが、V6の半分が休んだからといって、燃費が半分になるわけではない。加速でも巡航でも必要なエネルギーは変わらないので、3気筒休めば、動いている3気筒が倍働かなくてはならないのだ。もし、機関効率が同じならば燃料も倍必要になり、気筒休止の効果はなくなる。

ところが休止により機関効率が向上するのだ。ひとつのポイントは吸排気抵抗の減少。とくに吸気抵抗の減少が大きい。小さなスロットル開度では細いストローで息をするようなもの。この抵抗がバカにならない。バルブを閉めっ放しにするわけだ。圧縮抵抗はあるが、これはピストン下降時の力になって相殺される。バルブ開放状態でも吸排気抵抗はあるし、何よりも冷たい空気を送り続ければせっかく暖まっている触媒が植えてしまう。

さらに稼働気筒の吸気抵抗も減少する。3気筒で6気筒分のパワーを出さなければならないため、スロットル開度を大きくしなければならない。例えば6気筒稼働ではスロットル開度30%だが、3気筒状態ではスロットル開度50%以上という具合にだ。6気筒では細いストローが3気筒稼働になると太くなって、楽々と吸気できるわけだ。

もうひとつ、意外と気付かないのがバルブ駆動の抵抗。吸排気バルブはけっこう強い反発力のバネを使っている。3気筒休めば、3×4計12本分のバルブスプリングの反力がなくなる。カムが楽に回るからその分機関効率も向上するわけだ。
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