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ハリアー紹介/メカ編 メカもばっちりハリアー#02

快適な上級SUVのハリアーは、メカニズムの面でも大きく進化している。快適で安心感のあるロングツーリングをもたらす走行メカと新型安全システムを紹介してみた。

執筆者:川島 茂夫


搭載エンジンは2.4Lに4気筒、3LにV6という組み合わせ。これも従来と同じである。ただし、両エンジンともに三つ星の「超-低排出ガス(U-LEV)」クリア。一部車種は平成22年度燃費基準にも対応するなど、走行性能と環境性能の熟成を図っているのが特徴である。

ミッションは4気筒車では4速ATを採用しているが、V6車では5速ATになる。経済志向の強い4気筒車に対して、V6車は高級SUVをスペックの面からも主張しているわけだ。

サスペンションはFF、4WDともに4輪ストラットを採用。機構的には従来車を踏襲しているが、ジオメトリーやブッシュ、ダンパー特性など全面的に見直しを図っている。また、新たに設定された最上級モデルのAIRSには電子制御エアサスペンションを採用。基本的な考え方はセルシオやマジェスタのエアサスと共通しているが、車高をHiモード/Nモード/Loモード/乗降モードの4モードを設定しているのがSUVらしい特徴だ。

Hiモードは30km/h以下の時のみ作動。標準車高に対して車高を30mm高くして、悪路走破性を向上させる。Nモードは標準車高にセットされるが、80km/h以上の高速域では空力と操安性を向上させために自動的に車高を7mm低下。Loモードは標準車高より約15mm低下させ、ハンドリングや操安性を向上。乗降モードはイグニッションオフと連動し、車高を30mm低下させて、乗降性や荷物の積み降ろしをしやすくするのが特徴となっている。

重心高が高いSUVではアクティブセーフティも含めた操安性の向上が開発の要点となっているが、ハリアーでも基本性能の向上だけでなく、様々な支援電子制御デバイスが用意されている。

ブレーキはEBD付ABSを全車に採用。EBDは前後の荷重配分だけでなく、左右の荷重配分にも対応して制動力を配分し、コーナリング時の安定性と制動力の強化したタイプである。

また、最上級グレードのAIRS及びV6モデル(4WD車に標準、FF車にオプション設定)にはVSC&TRCが採用されている。

VSCは運転ミスによるカーブからの飛び出しやスピンを回避するための支援システム。走行速度、ヨー角速度(車体の向きが変わる速さ)などから、車体の旋回軌跡を算出し、操作しているハンドル舵角等から予測される軌跡との誤差を検出。ハンドル操作に応じた適切な旋回軌跡になるように車速や車体方向を自動制御してくれる。車速も方向もブレーキを用いてコントロールするが、方向制御は左右の制動力配分を違えることで行っている。

TRCは、いわば加速側のABSのようなもので、アクセルの踏みすぎでホイールスピンを起こす前に、自動的に駆動力を適切な量にコントロールするシステム。ハリアーに採用されているものは、アクセルの自動制御だけでなく、駆動輪へのブレーキ制御を併用することで、制御精度とレスポンスに優れたタイプである。

4WDシステムはセンターデフを用いたフルタイム方式を採用する。ただし、VSC&TRC装着車と標準型とは構成が多少異なっている。標準型はセンターデフにビスカスカップリングを用いた差動制限機構(LSD)を備えているが、VSC&TRC装着車には装着されない。これはVSCの制御の一環として差動制限と同じ働きがあるためである。ハードクロカン4WDでは必須アイテムのひとつとなっているデフロック機構は採用されず、4WDシステムもハリアーのキャラクターをよく表している。
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