そのせいか、デザインも室内機能も、よく言えば機能的だが、商用車的な印象がつきまとう。
多分、モビリオを考えているドライバーにとって、1BOXミニ発展型小型ワゴンは比べるべき対象ではない、くらいのことを考えているかもしれない。それはイメージをベースとした偏見かもしれないが、そういった思いを懐くのは心情的に理解できる。
非常に大きなウインドウグラフィックや個性的なインパネデザインなども、1BOXミニ発展型小型ワゴンとの差別性の演出と考えられ、確かにパッと見た瞬間にフィットやヴィッツなどのジャンルで語りたくなる。
もうひとつモビリオが新しいタイプのコンパクトカーとなるために、必要な要素が走りである。
モビリオは空前のヒット作となったフィットのプラットフォームをベースに開発。ハードウェア面の特徴はセンターレイアウトの燃料タンクであり、位相差点火方式を採用したi-DSIエンジンとCVTなどになる。排気量は1.5lに拡大されているが、内容的にはフィットをそのまま継承している。
まだ、試乗前なので、どのくらいの走りが実現されているかは不明だが、軽量小型車ながら高速ロングドライブにも不足ないフットワークを実現したフィットをベースにしているならば、モビリオもそういった性能を実現している可能性が高い。しかも、シャシーの開発でも操安性と乗り心地の両立が要点である。パワースペックや機能の特徴から動力性能にアドバンテージを持つi-DSIエンジンとCVTと組み合わせれば、1BOXミニ発展型小型ワゴンが得意としていない、高速ロングドライブにおけるアドバンテージが、これまでにないユーザーニーズを掘り起こすとこにもなろう。
なお、FF車の価格は138.9~159.9万円となっている。ちなみにストリーム1.7l車が158.8~179.8万円、ステップワゴンのFF車が185.8~229.8万円。うまく揃っているものだ、と感心してしまうが、性能やユーティリティのアドバンテージを考えると悩ましい価格設定でもある。どう売れていくかも含めて、興味の尽きないクルマである。