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トラヴィックpart1 スバルファン待望のミニバン誕生(2ページ目)

スバル・ファン待望のミニバンが登場した。スバルのオリジナル開発モデルではないが、オペル・ザフィーラをベースにスバルの質とテイストを盛り込んでいるのが特徴だ。日本の多くの道路環境で使いやすいボディサイズとステーションワゴン型ミニバンならではの多用途性は、ミニバン・ユーザーにとって見逃せないクルマになりそうだ。

執筆者:川島 茂夫

実際にサードシートは大人が座るだけの寸法は確保されているが、低いヒップポイントで、膝を抱えるような着座姿勢になり、長い時間乗り続けるのは、ちょっと厳しい。子供ならばそれほど窮屈ではないが、フロント&セカンドシートと比べると居心地は大分劣る。このサイズで使えるサードシートを実現したのは高く評価できるが、それ以上は望まないほうが無難だろう。

ただ、3列シートの配慮はしっかりとしたもの。エアコンの吹き出し口は、インパネ部の他にセカンドとサードシートそれぞれの天井に備えられている。各列に吹き出し口があれば、どのシートでも空調に関してはそれほど不快な思いをしなくて済む。また、ボリュームが大きく、細長いミニバンのキャビンは室温がムラになりやすいく、セカンドシートを心地よく使うには、セカンドシート後ろの空間の空調も重要。トラヴィックの空調ならば、2列シート4名乗車時でも快適というわけだ。

なお、サードシートの収納は、セカンドシートを前方にスライドさせたのち、サードシートを座面ごと引き起こし、バックレストと座面を平に伸ばすようにして、セカンドシート下の床面にはめ入れるという凝った方法。シート形状を見ても分かるが、左右を完全独立して行える。あまり操作性のいい方法とは思えないが、収納時の荷室形状の使いやすさとデッドスペースの少なさは高く評価できる。

搭載エンジンは2.2lの直列4気筒。もちろん、オペル製のものだ。国内に輸入されているザフィーラは1.8l車のみだが、本国では1.6lやターボディーゼルなど5タイプのエンジンが設定されていて、スバルはその中から最も実用性能に優れたエンジンを選んだわけである。
最高出力は147ps/5800rpm、最大トルクは20.7kg-m/4000rpmとなっている。オーバー2lとしては控え目な最高出力だが、20kg-mを超える最大トルクはチェックポイントだ。大トルクの自然吸気エンジンは最も実用的な性能を発揮する。ミニバンのように沢山の人や荷物を乗せるなど多様な運用が求められるクルマでは、力強いエンジンと柔軟なドライバビリティが重要であり、その点でこのパワーユニットの選択は、スバルの見識のひとつと考えてもいいだろう。

足周りはフロントにストラット、リヤにトーションビーム式トレーリングアームを用いている。FF車のサスペンションではオーソドックスなタイプである。この足周りには、標準仕様の他に、Sパッケージには専用のチューニングが加えられたスポーティサスが用意されている。なお、Sパッケージは、装着タイヤも標準の195/65R15からVR規格の205/55R16にグレードアップされている。

さて、気になるのは価格だが、ベーシック仕様でもエアコンなど各種便利快適装備を標準装着。一般的な装備でオプション装着の必要性があるのはオーディオくらいだが、それもSかLのいずれかのパッケージ仕様を選べばMDデッキを中心としたオーディオシステムが標準装着されている。この内容で、ベーシック仕様の価格は199.0万円である。最近はミニバンも価格が安くなっているので、サイズを考えるとちょっと高く感じる人もいるだろうが、2.2lエンジンを搭載した輸入モデルとすれば、かなり手頃感がある。ミドルセダンとほぼ同じ予算で狙えるのは、ステーションワゴン型ミニバンの購入を考えている多くの人にとって非常に現実的な価格設定といえよう。

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