今年のインディ500は期間短縮、予選は2日で決定
「インディ500」の決勝レースは毎年5月、アメリカの祝日にあたる「メモリアルデー(戦没者追悼記念日)」の前日、日曜日に開催されます。今年は5月30日が決勝レース開催日にあたるわけですが、「インディ500」は伝統的に非常に長い期間をかけて行われるレースとして知られています。これまでは5月の初旬からスタートし、決勝日まで約1カ月のスケジュールが組まれるのが当たり前だったのですが、今年は長引く不況の影響もあり、コスト削減のため開催期間を短縮することになりました。しかし、それでも開催期間は2週間以上にもおよび、レースイベントの規模としては未だ世界最大級といえます。
インディ500【写真提供:本田技研工業】 |
5/15(土)オープニングデー、練習走行、ルーキーオリエンテーション
5/16(日)プラクティスデー、練習走行、ルーキーオリエンテーション
5/17(月)プラクティスデー、練習走行
5/18(火)プラクティスデー、練習走行
5/19(水)プラクティスデー、練習走行
5/20(木)プラクティスデー、練習走行
5/21(金)ファストフライデー、練習走行
5/22(土)ポールデー、予選1位~24位が決定
5/23(日)バンプデー、予選25位~33位が決定
5/24(月)休み
5/25(火)休み
5/26(水)コミュニティデー、ピットストップ練習
5/27(木)サポートレース練習&予選
5/28(金)カーブデー、練習走行、サポートレース決勝
5/29(土)パブリックドライバーズミーティング、市内パレード
5/30(日)レースデー、決勝レース(200周)
このように長い期間にビッシリと練習走行、予選などのスケジュールが組まれ、期間中はコンサートイベントやサイン会などのイベントが行われる他、街をあげてのイベントもレースデーに向けて盛り上がっていくことになります。
複雑な予選方式を解説
11列33台でグリッドが組まれるのが伝統 【写真提供:本田技研工業】 |
予選は決勝日の1週間前に2日間で行われ、順位は1周のベストタイムではなく「4周の平均速度」で争うのが大きな特徴です。また、予選のアタックに入ることを「attempt,アテンプト」と言います。
予選を走るインディカー【写真提供:本田技研工業】 |
まず、最初に行われるのが「ポールデー」。11時から16時までの5時間の予選セッションの中で、全車が3回ずつ予選にアテンプトし、その平均速度を競い、1位~24位までが予選通過を果たします。まずは上位24位までに入らなければなりません。
さらに1位~9位までが16時30分から18時までポールポジションを決定する予選に挑みます。90分間で2回のアテンプトが可能です。ポールポジション獲得者には175000ドル=およそ1600万円の賞金が与えられます。
今年は予選方式も改められ、賞金も多くなり、よりエキサイティングな予選になりそう。写真は昨年ポールを獲得したエリオ・カストロネベス 【写真提供:本田技研工業】 |
2日目の予選は「バンプデー」と呼ばれる独特なものです。既に上位24台は前日に予選通過を果たし、残る9台を巡って激しい戦いが繰り広げられることになります。ですが、上位24台もこの日はお休みできるかというとそうではありません。
まず、各車がこの日の予選にアテンプトし、25位~33位が決まります。しかし、この時点では33番手の最後尾グリッドはまだ確定ではありません。ここから既に33位までに入っているマシンと34位以下のマシンによる、蹴落としあいが始まります。
1位~33位までのドライバーのうち、その時点で平均速度が最も遅いマシンは「OTB(オンザバブル)」と呼ばれ、予選通過ギリギリのラインに居ることになります。もし仮に34位以下のマシンが「OTB」のマシンより速い平均速度を出したとしましょう。「OTB」を上回った34位以下のマシンには33位のグリッドが暫定的に与えられ、逆に「OTB」だったマシンはグリッドを失います。落された(バンプアウトされた)マシンは再アテンプトを強いられることになるわけです。グリッドをまだ得ていないマシンが平均速度をあげていけば、上位33位に入ったマシンもタイムをあげていかねばならず、「バンプアウトされたくない合戦」が起こるわけです。そして、この日の6時間のセッションで蹴落としあいが終了し、「インディ500」のグリッドに並ぶ33台が決定するのです。
今年は5人が予選落ちを喫することになり、予選から激しい戦いが繰り広げられそうです。