2チームにGT-Rを供給し、著名なドライバーが駆る
2010年の「FIA-GT選手権」で「NISSAN GT-R」を走らせるのはスイスの「Swiss Racing Team」とイギリスの「SUMO POWER GT」の2チームだ。「Swiss Racing Team」は昨年まで「サリーンSR7」を走らせていた「Plus K Motorsport」に参画していたチームだそうだが、昨年までの「Swiss Racing Team」本体の主戦場はフォーミュラカーレースのATS F3(旧ドイツF3選手権)であり、その実力はまだ未知数といえる。
また、「SUMO POWER GT」はSUMO=相撲という何とも怪しい響きの名前のチーム名ではあるが、日本車のチューニングパーツを専門に扱う英国の会社によって作られたチーム。「FIA-GT選手権」に参戦するのは初めてだが、日本車ファンに対する良いアピールになりそうなパートナーシップである。
FIA-GT仕様のGT-R 【写真提供:FIA-GT】 |
【Swiss Racing Team ドライバー】
#3 カール・ヴェンドリンガー/ヘンリー・モサ
#4 マックス・ニルソン / (未発表)
【SUMO POWER GT ドライバー】
#? ミハエル・クルム / ピーター・ダンブレック
#? (未発表) / (未発表)
ドライバーラインナップで注目は元F1ドライバーのヴェンドリンガーの存在だ。ミハエル・シューマッハーらと共にメルセデスの若手育成プログラムで育った彼は91年にレイトンハウスからF1にデビュー。94年にアクシデントの影響でF1での活動は厳しくなってしまったが、その後はGTレースで活躍。99年にはFIA-GT選手権のチャンピオンに輝いた、今や大ベテランのドライバーである。ヴェンドリンガーは「Swiss Racing Team」の牽引役として活躍するはずだ。
元F1ドライバーのカール・ヴェンドリンガー(右)。昨年は1勝をあげている。随分と年老いた印象を受けるが、ベテランならではの走りに期待。 【写真提供:FIA-GT】 |
そして、ダンブレックは過去に全日本F3でチャンピオンに輝いた経験をもち、DTMやSUPER GTで活躍したドライバー。GTではトヨタ系というイメージがあるが、昨年はニュルブルク24時間レースに「ファルケンモータースポーツ」からフェアレディZで参戦したりしていた。日本のクルマを知り、ヨーロッパの路面と戦い方を知る経験豊富なベテランの存在はGT-Rにとって、スモウレスラーのごとく強大なパワーになるに違いない。
ミハエル・クルム(右) 【写真提供:FIA-GT】 |
2009年、スパ24時間、クラス3位を獲得!
FIA-GT仕様の「NISSAN GT-R」は昨年、2009年にテスト参戦という形で「FIA-GT選手権」のレースに出場し、いわゆる実戦を通じた開発が行われてきた。しかし、エンジン出力を600馬力に抑える2010年レギュレーションに合わせて作られたマシンだったため、上位フィニッシュはならなかったが、それでもいくつもの高いハードルをクリアしながら、スパ・フランコルシャン24時間レースではクラス3位表彰台を獲得する走りを見せた(総合は10位完走)。なお、準ワークス体制によるテスト参戦だったため、2009年はポイントを獲得しない「賞典外」扱いだった。ミハエル・クルム(右)、ダレン・ターナー(左)に加えて、スパフランコルシャン24時間レースでは元F1ドライバーのアンソニー・デビッドソンが助っ人に加わった。 【写真提供:FIA-GT】 |
ちなみにナイジェル・ステップニーは元フェラーリの優秀なF1メカニックで、シューマッハ―黄金時代に活躍した人物。2007年のフェラーリとマクラーレンの間で起こった産業スパイ事件に関わり、F1を追われた黒い過去があるが、今後はGT-Rの世界制覇に向けて良い仕事をしてくれるはずだ。