フェラーリF1工場の横は専用サーキット
フィオラノ・サーキットの入口。 |
金網ごしにサーキットの様子が見れる。 |
しかし、フィオラノでは旧型のフェラーリF1マシンの走りを観ることができるかもしれない。世界中の旧型F1オーナーへデリバリーするために、フィオラノでは今も頻繁に旧型F1のテスト走行が行われているという。もちろん、最新のロードカーのテスト走行も行われるが、残念ながら私が訪問した時には何も走っていなかった。静かなマラネロの街にF1のエンジンサウンドが響きわたれば、この街もまた違ったイメージに見えてくるのかもしれない。サーキット近辺は住宅街になっているし、住宅街を歩けばコースサイドまで行くことができ、何が走っているかは一般の人に丸見えである。
ヴィルヌーブの銅像。 |
ヴィルヌーブの銅像の後ろの家は売りに出されているようだった。熱狂的なティフォシなら、別荘にいかがだろうか? |
マラネロにはエンツォの命が宿る
マラネロはフェラーリのファクトリーが無ければ単なるイタリアの田舎町である。この日はF1イタリアGPの直後ということもあり、F1ファンが多数訪れていたが、普段は本当にどこにでもあるような静かな街だろう。こんな静かな所でF1マシンやスポーツカーが製造されているとは本当に驚いてしまう。しかし、この街には独特の、とても不思議な空気がある。フェラーリのショップやミュージアムがあって街全体がフェラーリに染まっている反面、ピンと張りつめた、どことなく切ない空気が漂っているのだ。言葉では表現しがたいが、その空気はレース屋さんたちがテスト走行などの仕事をする平日のサーキットのそれにもよく似ている。
ジル・ヴィルヌーブが駆った312T5 |
この街の空気はエンツォ・フェラーリのレーシングスピリットそのものなのかもしれない。偉大なる創始者がこの世を去って既に10年以上経つが、ミュージアムに展示されているマシンを見てもエンツォが愛したドライバーに対する敬意を感じられるし、街の通りの名前は「タッツィオ・ヌボラーリ」「アルベルト・アスカリ」「ジル・ヴィルニューブ」らの名ドライバー、そして彼が溺愛した息子「ディーノ・フェラーリ」などエンツォが愛した人ばかりである。
彼が持っていたレースに対する凄まじい情熱が今もこの街には生き続けている気がしてならない。マラネロは私のような単なるレースファンにもそんな「特別な体験」をさせてくれる素晴らしい街だ。
レースが好きな方、車を愛する方には、一生のうちに一度は必ず訪れて欲しい場所である。
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