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インディジャパンをもっと楽しむために(2ページ目)

9月に日本に上陸するアメリカ最高峰のレース「インディカー」。その日本戦「インディジャパン」をさらに楽しむために、アメリカンモータースポーツの見所や面白さを分かりやすく解説します。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

非常に歴史が長いアメリカンレース

「インディカー」という名前の起源は現在もシリーズの1戦として、毎年5月の戦没者追悼記念日(メモリアルデー)の週に米国インディアナポリスで開催される「インディアナポリス500マイルレース(通称インディ500)」に由来する。「インディ500」に参加するクルマだから「インディカー」と呼ばれるのである。

同レースが初めて開催されたのは1911年だが、実はアメリカではそれ以前の1902年から「オープンホイール」レースが開催されていて、ヨーロッパでF1がシリーズ化されたのが1950年であることに比べても圧倒的に歴史が長いといえる。以来、第二次世界大戦で4年のブランクができたものの、それを除いて実に100年近くに渡ってレースが開催されている。
1930年代のインディカーマシン。1960年代くらいまでは排気量も様々なマシンが出場し、技術を競い合っていた。
【写真提供:MOBILITYLAND】


レースに勝つことは、まさにアメリカンドリーム

自動車の競争は愛車の自慢から始まった。その起こりはヨーロッパでもアメリカでも同じである。しかし、ヨーロッパの自動車競走が一部の貴族や紳士たちの社交の場であったのに対し、貴族など存在しないアメリカの地では早くから自動車レースは「興行」として捉えられ多くのファンを獲得してきた。

また、多くのファンに支えられているアメリカンモータースポーツでは、多額な賞金が用意されることも大きな特徴だ。レースに出場し勝利することは「名誉」なことであるだけでなく「一獲千金」のチャンスでもあるのだ。ちなみに今年、エリオ・カストロネベス選手が「インディ500」で優勝し獲得した賞金は日本円にすると約3億円! たった1レースで、一夜にして「億万長者」になれる、まさにアメリカンドリーム的な部分もアメリカンレースの魅力である。
今年のインディ500を制した「ペンスキー」のエリオ・カストロネベス選手。脱税容疑がかけられシーズン開幕時はレースに出場できなかった。しかしその容疑が晴れてレースに出場し、最大のイベント「インディ500」で今季初優勝を遂げた。スキャンダルで失った自身の名声を自分の腕で取り返した姿に全米のレースファンは熱狂。ドン底からの大逆転、こういうストーリーをアメリカ人は好み、最大級の賞賛を送る。それもまたアメリカンドリームの一つの要素だ。
【写真提供:本田技研工業】


ファンの生活に密着した米国モータースポーツ

アメリカンドリームを掴むために邁進する戦士たちにファンからは「羨望の眼差し」が注がれる。多くのファンが憧れる舞台だからこそ、レーシングチームを支えるスポンサーもファンの生活に密着したビッグネームの企業が多い。
「チップガナシ」のスコット・ディクソン選手のマシン
【写真提供:本田技研工業】
例えば、トップチームである「チップガナシ」にはアメリカ最大級のディスカウントストアの「ターゲット」が長年メインスポンサーとして同チームをサポートしているし、「アンドレッティ・グリーンレーシング」のトニー・カナーン選手のマシンには大手コンビニエンスストアの「セブンイレブン」が、ダニカ・パトリック選手のマシンには携帯電話端末の大手「モトローラ」が、「ニューマン・ハース・ラニガンレーシング」のグレアム・レイホール選手のマシンには「マクドナルド」がそれぞれメインスポンサーを務めているなど、誰でも知っている企業が多くみられる。それだけ米国ではモータースポーツが影響力のあるエンターテイメントとして認められているのだ。

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