ややこしや~なセーフティーカー
コースにクラッシュしたマシンが留まったり、コース上に大量のオイルが出たりしてレース状態の継続が難しい場合に導入されるのが「セーフティーカー」です。「セーフティーカー」が導入されるとレースは中立状態になり、コース全域で追い越し不可となります。そして先導走行となるので、広がっていた差が一気に縮まってレースはそれまでとは違った展開になります。「セーフティーカー」の導入に関してはその時のレースコントロール(競技運営団)のその時の判断ですから、どのタイミングで導入され、どのタイミングで作業が終わりリスタートになるのか予想ができません。
レースの行方を左右するセーフティーカー導入。アメリカンモータースポーツから出てきた文化だ。インディカーやNASCARではクラッシュ車両が無くても、コース上にパーツ(デブリ)が落ちているだけでコーション(セーフティーカー導入)となることもある。 【写真:辻野ヒロシ】 |
【コーション CAUTION】
アメリカンモータースポーツ由来の言葉。「注意して走れ」の意味。
【フルコースコーション】
コース全域がコーション状態であること=セーフティーカー先導
【デブリ debris】
「破片、残骸」の意味。
SUPER GTで導入されている日産GT-Rのセーフティーカー 天井のランプが消えると「次の周にリスタート」の合図だ。 【写真:辻野ヒロシ】 |
さらにレースを運営する側にとっても大変です。ほとんどの4輪レースでは「セーフティーカー」は現時点でのトップのマシンの直前に付いて先導します。F1やインディなどの全車同一クラスのレースなら問題ありませんが、クラス数の多いレースになると「セーフティーカー」の先導位置が別クラスの位置関係に影響を与えます。
複数のクラスが混走するレースでは「セーフティーカー」の導入が接戦だった展開を台無しにしてしまう可能性もあるのです。GT500とGT300の2クラスが同時に走るSUPER GTでは「セーフティーカー」導入のケースは少なく、不測の事態ならば「赤旗」でレースを中断し、マシンの隊列を整理してからレースを再開させる方式を取ることが多くみられます。
次のページではコース上で出されるフラッグについてご紹介します。