F1/F1(フォーミュラ1)について

フォーミュラカーの時代による変遷(6ページ目)

モータースポーツ基礎講座(その2)。F1マシンは常に進化を続けています。一口にフォーミュラカーといっても時代によってその形状を大きく変化させてきました。その変遷をご紹介します。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

90年代に新しく生まれたトレンド、ハイノーズ

90年代のF1で最も大きなデザインの変化といえば、今や常識・基本形ともなっている「ハイノーズ」が挙げられます。90年にティレルチームが最初に採用したデザインです。
ティレルが採用したハイノーズはその後のフォーミュラカーの常識に

80年代の後半には空力の研究が進展し、F1マシンはフラットボトム規定下でもボディ下面で充分なダウンフォースを得られるようになりました。ハイノーズはそのボディ下面にさらに効率的に空気を流し込むために邪魔になっているノーズを高い位置にあげてしまおうという発想から産まれたものです。

実戦でも効果が証明され、各チームがこれを採用し、90年代中盤にはフォーミュラカーの定番デザインとなっていきました。

90年代後半は似たものデザインが増えていった。

94年のサンマリノGPは悪夢のような週末でした。このGPにおいてアイルトン・セナを含む2人のF1ドライバーが事故でこの世を去り、改めてレース中の安全性というものが見直されるようになっていきました。F1マシン、フォーミュラカーにもさらなる安全性が求められるようになったのが90年代後半です。コーナリングスピードを落とすための様々な規制が加わり、98年にはタイヤが溝つきのグルーブドタイヤになるなど様々な制限が加わりました。
ハイノーズでやや角ばったデザインは90年代後半~2000年代前半の特徴
ホンダは2000年にBARチームにエンジンを供給する形でF1に復帰。

ドライバーをアシストする電動デバイスなどのハイテクが禁止され、様々な制限が加わった90年代後半はある意味「個性なき」時代かもしれません。世界的にもF1の人気は低迷した時代で、マシンのデザインはそれほど革新的な進歩を遂げることはなく、どのチームも大きな冒険をすることもなく似たようなデザインになりました。しかしその状況は自動車メーカーの積極的な参入で21世紀の到来と共に急速に変化していきます。
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