灼熱のマレーシア・セパンは超サバイバルレースに
著名な近代サーキットデザイナー、ティルケ氏による個性的なスタンド。今年唯一の海外ラウンドだが、マレーシアのファンにはすっかりお馴染みのイベントだ。 (写真提供:SUPER GT.net) |
昨年のセパン戦ではエンジンをNAに戻したARTA NSXが圧倒的な速さを見せ付けたが、決勝レースではクールスーツ(ドライバーの体を冷やす装置)が故障し、伊藤大輔は意識が朦朧(もうろう)となる中でドライブをし続けた。悔しい2位となったARTA NSXにとってはリベンジをかけた重要なレース。しかし、今年もマレーシアの熱い太陽がドライバーを大いに苦しめた。
ARTA NSXが今年も速さを見せた!
左からMOTUL AUTECH Z、ZENTセルモSC、CALSONIC IMPUL Z、ARTA NSX。1コーナーから激しいトップ争いが展開された。 (写真提供:SUPER GT.net) |
決勝レースは午後4時にスタート。日没も遅いため、暑さを避けるためにセパンラウンドの決勝レースは普段よりも遅い時間に設定されている。
PPからARTA NSX(伊藤大輔/ラルフ・ファーマン)が好スタートを切り飛び出していく、2番手にはMOTUL AUTECH Z(ミハエル・クルム/リチャード・ライアン)が続く。ARTA NSXは徐々にリードを築くが、昨年の悪夢が蘇るトラブルがまたもARTA NSXを襲う。なんとまたもクールスーツが故障した上に、無線までも使えなくなっていた。そしてドライブ中のラルフ・ファーマンは体調不良とあって、トップを走りながらも大ピンチを迎えていた。
MOTUL AUTECH Z(ミハエル・クルム/リチャード・ライアン)。 リチャード・ライアンはSUPER AGURI F1 TEAM入りが決まった山本左近に代わってNISMOに復帰した。 (写真提供:SUPER GT.net) |
クールスーツ不調の伊藤、追いかけるライアン、まさに去年と同じ状況だ。伊藤とライアンの差は5秒を切るところまで縮まった。
ARTA NSXのファーマンと伊藤大輔。 (写真提供:SUPER GT.net) |
2位にはMOTUL AUTECH Z、3位にはCALSONIC IMPUL Z(トレルイエ/星野)が続き、星野一樹にとっては初めてのGT500表彰台となった。
GT300は雨宮アスパラドリンクRX-7がセパン4勝目!
2年連続GT300チャンピオンの山野哲也/成長著しいベテラン?井入宏之が駆る、雨宮アスパラドリンクRX-7。 (写真提供:SUPER GT.net) |
雨宮アスパラドリンクRX-7は7周目にエンドレスアドバンCCI Z(影山/藤井)をかわすと、そのままトップを守りきり今季初優勝を飾った。しかし、雨宮アスパラドリンクRX-7にはこれまたクールスーツのトラブルが発生しており、井入宏之はトップチェッカーを受けるなりマシンを停止。熱中症でフラフラになりながらも気力で表彰台に上がるというギリギリの状態での優勝だった。
また3位に入ったdirexiv ADVAN 320Rの密山もゴール後に医務室に運ばれ表彰式には参加できなかった。
過酷なセパンラウンドはレース中に大きなドラマこそなかったものの、ドライバーとチームが死力を尽くした勝ちっぷりはドラマだった。今年もセパンの裏話は後のドライバートークショーなどで恰好のネタとなっていた。
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