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白水ダムは日本で一番美しいダム!大分の白水堰堤

大小様々なダムがある中で「日本一美しいダム」の称号を与えるにふさわしい、大分県竹田市の白水堰堤(はくすいえんてい)、通称白水ダム。そんな白水ダムの写真やアクセス方法を紹介します。観光スポットの一つとして訪れてはいかがでしょうか?

村田 博之

執筆者:村田 博之

名所・旧跡ガイド

九州・大分に日本一美しいダム、白水ダムがありました!

大分にある白水ダムとはどんなダムなのでしょうか(写真は黒部ダム)

大分にある白水ダムとはどんなダムなのでしょうか(写真は黒部ダム)

治水や水力発電など目的は様々ですが、私たちの暮らしを支えているダム。

日本国内には小さなものから大きなものまで実にたくさんのダムがあります。自然の中に出現する大きな構造物なので、黒部ダムのように観光名所化している所も多いですね。

今回は、そんなダムの中から「日本一美しいダム」の称号を与えるにふさわしい、大分県竹田市にある白水堰堤をご紹介します。
   

日本一美しいダム、白水溜池堰堤

白水溜池堰堤(1)

水の流れが美しい白水溜池堰堤。下流から見て左側の護岸はカーブを描いていて、流れ落ちた水が90度方向を変えることにより、上から流れる水の力を弱めるという効果をもたらしています(2002年5月撮影)

竹田市は、大分県の南西部に位置する街で、瀧廉太郎が「荒城の月」を作曲する時にイメージしたという岡城址や、きれいな水がこんこんとわき出る湧水群があることで知られています。

今回ご紹介する白水堰堤Googleマップ)は、竹田市の西、阿蘇の外輪山にほど近い荻町(おぎまち)にあるダム。

白水ダムとして紹介されていることが多いですが、正式名称は白水溜池堰堤(はくすいためいけえんてい)といい、阿蘇の外輪山を水源として大分県を東西に流れる大野川に1938年(昭和13年)に造られました。

高さは14メートルと、ダムとしては小さなもの。河川法という法律では高さ15メートル以上をダムと定義しているので、法律上は「堰(せき)」という扱いです。
 

国の重要文化財に指定されている白水溜池堰堤

白水溜池堰堤の説明版

白水溜池堰堤の説明板。昭和初期の石造りのダムが現役で稼働しており、国の重要文化財に指定されました(2002年5月撮影)

白水溜池堰堤が造られた目的は、竹田市内の片ヶ瀬地区と緒方町の農業用水不足を解消するため。堰堤から5~15kmほど離れた各地区へ富士緒井路というほとんどトンネルの用水路により農業用水を供給しています。

白水溜池堰堤が建設された昭和初期はコンクリートが使われ始めた頃でしたが、白水溜池堰堤は石を積み上げる形で造っていてコンクリートをほとんど使っていません。

昭和初期の貴重な石造りの構造物が60年以上も現役で使われていることから、2000年(平成11年)に国より重要文化財の指定を受けました。
 

ダムを流れ落ちる水の美しさに感動!

白水溜池堰堤(2)

下流から見て右側の護岸。階段状になった部分に水を段々に落とすことで勢いを弱めています(2002年5月撮影)

白水溜池堰堤を建設した場所は、火山灰土で地盤が弱い所でした。そのため地盤を壊さないよう護岸の部分にアイデアをこらしています。

片方の護岸では、流れ落ちた水をカーブで方向転換して、上から流れ落ちる水に直角にぶつけることで水の勢いを落としています。

また片方の護岸では、カーブは使わず階段状に石を積みました。こちらは階段の上を流れる水を段々に落とすことで、水の勢いを弱めるのが狙いです。

これらの先人のアイデアが、美しい水の流れを作るという副産物を生み出しました。

両側の護岸もそうですが、真ん中の水が流れる部分は、ダムでせき止めている溜池の水があふれると流れる仕組みになっています。まっすぐ落ちてくる水の流れもとても美しい眺めですね。まさに「日本一美しいダム」だと思います。
 

「日本一美しいダム」へのアクセスは難しい

白水溜池堰堤(3)

溜池をオーバーフローした水の流れが美しい白水溜池堰堤。まさに日本一美しいダムです(2002年5月撮影)

これだけの美しさを誇る白水溜池堰堤ですが、2006年に放映された地元のむぎ焼酎のCMでクローズアップされるまで観光地とはされていませんでした。その一番の理由がアクセスの難しさ。

公共交通機関では行くことができず、車で行った場合も堰堤の上流600mの所と、下流100mの所に小さな駐車スペースがあるだけ。

その駐車スペースへ向かう道も、ダム周辺では車1台がぎりぎり通れる道幅しかなく、運転に自信のない方にはとても難易度の高いルートです。また駐車スペースからダム近辺への散策ルートは柵などの整備がされていないところもありますので、くれぐれも危険な場所には入らないようにしましょう。
 

溜池からの越流はいつも見られるとは限りません

白水溜池堰堤(4)

渇水期の白水溜池堰堤。水の美しい流れこそ見られませんが、石積みのダムの構造が良くわかります(2001年5月撮影)

ちなみに、川を流れる水量が少ない時は水が溜池からあふれないので、白水ダムは普通の石積みのダムになってしまいます(ガイドも初めて訪れた時は渇水で、水の流れていない状態でした)。どちらが見られるかはそれまでの天候にも左右されますので、もしも渇水だった場合は時期を変えて再訪を期するしかありません。

また、白水ダムの中に堆積した土を撤去する工事が2018年度より始まっており、2022年度までの5年間、溜池から水があふれる風景が見られるのは毎年6月中旬頃から10月中旬頃までの期間限定となります。その他の時期は工事のため、水があふれる風景を見ることはできませんので、竹田市観光ツーリズム協会「タケタン」大分県(豊肥振興局)のWebサイトで最新情報を確認してください。


「日本一美しいダム」と称される白水ダム(白水溜池堰堤)をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
竹田方面へ旅する計画がある方は、ぜひ白水ダム(白水溜池堰堤)にも立ち寄って「日本一美しいダム」の風景に触れてみて下さい。

白水ダム(白水溜池堰堤)へのアクセス

地図:Googleマップ
アクセス:
近隣まで公共交通機関で行く方法はありません。JR九州 豊後竹田駅や阿蘇くまもと空港、大分空港などからレンタカーを借りる必要があります。

<車>
ダムを下から見上げる左岸ルートと上から見下ろす右岸ルートがあります。
※右岸ルートは当面の間、工事で通行不可
  • 左岸ルート
    国道57号線で豊後竹田から阿蘇方向に向かい、玉来(たまらい)付近(Googleマップ)より県道135号線で荻(おぎ)方面へ。荻町(Googleマップ)で左折して県道695号線に入る。
    3kmほど走った所にある交差点(Googleマップ)を左折。
    ※「白水ダム ←」という小さい看板が出ているので見落とさないように。
    この後は道ばたの小さな看板を見落とさないように進めば、下流側の駐車スペース(Googleマップ)に到着。ここから堰堤までは100mほどの距離です。
    また阿蘇方面から白水堰堤へ向かう場合は、国道57号線から県道640号線で荻方面へ向かいます。
    竹田市観光ツーリズム協会のWebサイト「タケタン」では、左岸ルートとして玉来駅から姫だるま工房経由で大野川沿いに遡る別ルートが詳しく紹介されています。
  • 右岸ルート
    ※当面の間、工事で通行不可
    国道57号線で豊後竹田から阿蘇方向に向かい、玉来付近より県道639号線で高千穂方面へ。3kmほど走った所にあるT字路を高千穂方面へ右折、県道8号線を10kmほど進み、宮砥郵便局の先を小さな看板に従って右折。トンネルをくぐって細い道を進むと上流側の駐車場(Googleマップ)に到着します。ここから堰堤まで600mほど坂を下ります。
【関連サイト】 「九州の名所・旧跡」に、「名所・旧跡」ガイドで九州の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。

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