アコード並みの走りは実現できたのか?
では試乗といこう。5速ATのDレンジをセレクトして走り出すと、2,4リッター170馬力は必要にして十分なパワー。何のストレスもなく1560kgのボディを走らせる。しかもホンダのエンジンって静かでスムース。さすがアップダウンのあるワインディングロードだと高回転まで引っ張らなければならないけれど、全く気にならない。おそらく試乗した人の99%は「滑らかなエンジンとミッションである」と評価するだろう。エンジン以上に高い点数を与えられるのが乗り心地。このところホンダはボディ剛性感の演出を上手に出来るようになった。絶対的な剛性だけでなく、前後のバランスまでコントロールしているのである。さらにサスペンションの取り付け部剛性をヨーロッパ車のように補強してあるため、ダンパーもキッチリ動く。
結果、SUVモデルとしては圧倒的に良質な乗り心地になったと思う。フワフワじゃなく、乗用車のように腰のあるメリハリ効いた乗り心地なのだ。発表会の際、福井社長は「アコードを目指した」とコメントしたが、適当な表現だと感じた。なるほどハンドルを握っていてSUVというイメージが無い。良質の乗用車みたい。このあたり、気になる人はぜひディーラーで試乗してみたらいいだろう。
肝心の4WDだが、残念ながらこの時期は雪も無くチェック出来ず。開発者によれば「2代目の途中から後輪への伝達効率を大幅に強化しました。その上で、今回はさらに20%効率アップさせています」。先代の後期型でもオプションのVAS(トラクションコントロール機能+姿勢制御装置)と組み合わせれば雪道を不満なく走れた。全車VSAが標準装備される新型なら、2代目モデル前期型までのような「なんちゃって4WD」みたいな酷評をされることもなくなるだろう。
グレードは4WDのベーシックモデル『X』(252万円でVSAやHIDまで付く)という手もあるけれど、御予算あるなら車間距離制御付きクルーズコントロールや、追突低減ブレーキシステムが標準装備される最上級の『ZXi』(323万4千円)をすすめておく。このシステム、ハリアーだと450万円を超えるフル装備車じゃないと付かない。内容を考えればお買い得であります。