
画期的な触媒技術を開発
近い将来、地球温暖化防止だけでなく、燃料コストという点からも燃費の良いパワーユニットは必ず必要になってくる。燃料電池を主役に据えようという流れもあったけれど、ここにきて「乗用車用としては難しいかもしれない」というのが共通認識になり始めてきた。ノーベル賞モノの発明を2~3しない限り、コストの壁を破れないからだ。
ということで各社、ハイブリッドとディーゼルの開発に注力しているワケ。しかしハイブリッドは技術&コスト面で、ディーゼルも排気ガスのクリーン度で大きなハードルを超えなければならない。現時点でハイブリッドのハードルを超えたのは、世界的に見てもトヨタとホンダのみ。ディーゼルについちゃ2009年から始まる次世代排気ガス規制(ガソリンエンジン並のクリーン度が要求される)を、誰もクリア出来ていなかった。
しかし突如ホンダが「2009年から始まるアメリカ規制をクリア出来るディーゼルの開発に成功した」という発表を行ったから業界は大騒ぎである。これまでディーゼルの排気ガス中に含まれるNOxをガソリンエンジン車並に減らそうとすれば、ベンツの如くアンモニア(尿素水という形で排気ガスと反応させる)を使うというのがオーソドックスなアプローチとされていた。

ここまでくれば尿素水を使う後処理装置と同じ。希薄燃焼によって出てしまうNOxをアンモニアと反応させ、無害なチッソとして排出する。つまり巡航時は数分の希薄燃焼と、数秒の濃い燃焼を繰り返す。驚いたことに早くも試作車を披露し、試乗もさせた。写真のアコードが世界一クリーンなディーゼルエンジンを搭載したモデルだ。
当たり前かもしれないが、普通の新世代ディーゼルと同じくパワフルで滑らか。全くストレスなく走れる。排気ガスを嗅いでみると(排気管から出た直後の熱いガスを試してみました)、本当に無臭! 大気よりクリーンな排気ガスを出すガソリンエンジンと同じくらいクリーンなんだから当然か。
気になる燃費はガソリンエンジンのアコードがリッター10kmくらいの走り方でリッター15km前後とか。アメリカでは2008年秋。日本でも少し遅れて販売しようと計画しているらしい。