
評価するのが難しいクルマである。パッと見れば「ちょっと変わったデザインだし地味でしょう」なのだけれど、内容を知ると「凄いね!」と思う。まずは弱点から。アベンシスは元々ヨーロッパ専用モデルとして開発が始まった。チーフエンジニアに聞くと「日本で売るという計画はありませんでした」。したがってデザインも日本市場でなくヨーロッパ市場しか想定しておらず、典型的な日本人である私からすると「なんだかヘン」に見える。ところがヨーロッパ人の価値観からすると「良い」になるらしい。プジョーとかアウディのようなデザインなら、日本人にも受け入れられるのだが、オペルやルノーのような方向をチョイスしたワケ。

もっと凄いのは衝突安全性。あまりPRしていないのだが、世界一厳しいと言われるヨーロッパの衝突安全性評価(ユーロNキャップ)で、日本車初の5つ☆を獲得しているのだ。日本の安全性評価は、規定された試験モードで基準以内の数値を出せばいい。逆に考えると日本の試験モードに合わせたクルマを作れば最高点だって取れる。ところがユーロNキャップときたら、メチャクチャ意地悪。基本となる衝突モードだけでなく、初採用となるニーエアバッグについちゃ「こうなったらどうなる?」みたいな追試をさんざんさせられたそうな。しかもイギリスの評価委員が認めても、ドイツの委員から異議でたり、アウェイは辛い。
