NISSAN(日産)/日産の車種情報・試乗レビュー

日産の軽自動車MOCOデビュー

日産初の量販軽自動車(初めての軽自動車は電気自動車)であるMOCOがデビューした。実力や魅力度はいかに!

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド


「日産も軽自動車市場に参入!」ということでTVや新聞などでも大きく取り上げられた。果たして売れるだろうか? 以下、クルマの紹介を兼ね、考えてみたい。まずクルマから。『MOCO』とネーミングされた車体そのものは、スズキの『MRワゴン』である。気になるオリジナル度(どのくらい日産専用の設計になっているか、ということ)は、予想外に低かった。というより、ほぼMRワゴンそのものと考えていいほど。外観こそ最近の日産が好んで使う専用のフロントグリル(いわゆるヒゲグリル)を採用するなどイメージ違うけれど、ボディ横面とリアは全く同じ。よく見ればフロントもボンネットとバンパーの2点だけしか違わない。

インテリアは完全に同じ。変えてもコスト高になりにくいハンドル形状や、オーディオまで同じだったのに驚く(それぞれ2色ずつあるインテリアのカラーはベージュが共通)。徹底的にコストアップしないよう配慮したのだろう。装備の差を調べてみたら、スズキだと2万5千円のオプションになるABSがMOCOだと標準装備になるのみ。安全に関する装備はメーカーによって社内規定があるのだ。日産車として売る限り、ABSは標準でついてないとイケナイ。興味深いことに価格もMRワゴンにABS分を上乗せしたもの。すなわち97万8千円のMRワゴン『E』と、100万3千円のMOCO『B』は、ABSの有無を除き同じクルマだと考えていい。

気になるのが衝突安全性。スズキは軽自動車の衝突安全性について、J-NCAP(国道交通省の外郭団体が行っている安全性レーティング)で☆三つ取れれば良いと考えている。MRワゴンも実力的には☆3つと4つの中間くらいだと言う。一方日産の目標値は「サイズに関わらず☆5つ以上」。日産の方が目標値高いのだ。したがってマーチなど昨年夏以降にデビューした日産の新型車と比べ、やっぱりMOCOの実力は低いと考えるべきだ。つまりマーチとMOCOの差を考える際、衝突安全性まで考えるべき、ということです。ちなみに2001年度のJ-NCAPで、ダイハツ・ムーヴと三菱パジェロ・ミニは☆5つ取っている。

興味深いのがマーチとの価格差。日産のプレスリリース見ていたら「日産コンパクトカーラインナップ」なるチラシを発見。これにマーチとキューヴ、MOCOの3車の価格が書かれている。こいつを見ると、マーチは109万5千円の『12c』で、MOCO『Q』の116万円より安いのだ。同じ装備だと確実にマーチの方がリーズナブル。車体サイズ大きく、3気筒660ccエンジン積むMOCOに対し、マーチは4気筒。どう考えてもマーチの方がお金掛かっているのに。任意保険まで考慮した年間のランニングコストは軽自動車の方が5万円前後安いけれど、なんだか不思議な気分。個人的には軽自動車を買うならスズキ・ラパンのようにフル装備で90万円台中盤のモデルをすすめておきます。
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