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新型スカイラインの試乗レポート 新型スカイライン紹介

新型スカイラインが6月18日に発表された。話題のクルマだけにデビュー前から賛否両論入り乱れ、自動車関係の掲示板を多いに賑わせたほど。果たしてどんなクルマだろうか?

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド

スタイルについての評価は皆さんにお任せしておく。決定的に悪くもなく、かといって「スタイルいい!」という評価も得られないんじゃなかろうか。「けっこういい」とか「写真で見るよりいい」という声は多いけれど「とてもスタイリッシュ」と感じる人は少ない、ということ。逆に「てんでダメ」という否定派が意外に多い。特にリアスタイルはトランクリッドと、バックランプのデザインが不評である。スタイルの評価はリセールバリューと大きくリンクするので、乗り換え派なら人気車になるかどうか、もう少し待ってから決めるべきだろう。「外観上のスカイラインらしさはあえて無くしました」(広報部談)という。ボディサイズはマーク2を6センチ短くしたと思えばいい。

エンジンは215馬力の2500ccと、260馬力の3000ccから選べる(いずれもDiと呼ばれる直噴タイプ)。両方とも試乗してみた。エンジンフィールは「高回転まで引っ張ると賑やか」と表現しておく。普通に使っている限り何の不満もないのだけれど、全開で加速すると少しザラついた感じの回り方になってしまうのだ。ATの変速ショックも300万円クラスのクルマの割に大きめ。絶対的な加速性能は、2500ccがセドリックの2500ccと同等の加速感で「速い」と感じるレベルに達していない。3000ccなら「十分スポーティ」である。ただ大人のためのGTカーだと考えれば、何の不満もなかろう。

足回りはどうか? 普通の路面状況であれば、とても乗り心地いい。新しいタイプのダンパーを採用しているため、細かい振動を伝えないのだ。しかし橋の上などの継ぎ目を通過すると、普通の日本車と同じく「ドシン!」。コーナリング中に継ぎ目を通った時のキックバック(ハンドルに伝わる衝撃)も大きかった。このあたり、BMWやベンツに代表される輸入プレミアムカーと比べると厳しい。一方、ハンドリングは良好で、コーナーをハイスピードで走った時の安定感などさすが日産。従来のスカイラインが持っていた「4ドアのスポーツカー」的なシャープさこそ無くなったものの、大人のためのGTカーなら満足出来ると思う。

新しいスカイラインのコンセプトの中に「レースで培われた技術の投入」というのがある。長距離乗ってもドライバーを疲れさせない、というもの。確かに新しいスカイラインは疲れが少ないように思う。その代償として「個性」まで薄くなってしまったようだ。レーシングカーなら「速く走ること」が正義。個性など不要だろう。でも高いクルマを買う人の多くは「楽しさ」を求める。スポーツカーのハンドルを握ってワクワクするのは、ある程度の荒さ(個性と言い換えてもよかろう)を含むからであり、薄い味でない。新型スカイラインは「良いクルマ」であるけれど、個性豊かなクルマでないというのが私の結論です。そんなことを考えながらディーラーに行って試乗してみて下さい。
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