1960年代に生まれたロングヒット商品
企業名:大正製薬 商品名:リポビタンD タイトル「丸太梯子」篇 ケイン・コスギ、滝川英治(2004年) |
松本:
リポビタンDは60年代に生まれたロングヒットの商品です。テレビCMは、断崖絶壁や激流などを舞台に、二人の男性が困難を克服していく。商品とともに、テレビCMも長く愛されるシリーズ作品になりましたね。
吉田さん:
リポビタンDのテレビCMシリーズはロングランCMとして、多くの人々に強いインパクトを与える特別な存在になっていると思います。大正製薬のホームページに「リポビタンDの歴史」というコーナーがあります。当時、王貞治選手のホームランと共に成長を遂げたリポビタンD、その頃のキャッチフレーズは、「ファイトで行こう、リポビタンD」でした。
1977年にダブルタレント時代が始まり、おなじみのキャッチフレーズ「ファイト・一発!」が使用され始めました。大自然の困難に立ち向かう永遠の旅人、二人の男は努力と熱き友情で、迫りくる危機に立ち向かう。そして二人はその危機を克服する(勝利)というストーリーです。「努力・友情・勝利」がリポビタンDの大テーマです。
時代時代で旬なタレントを起用し、その時代を反映したCMプランが作成され、常に新しさを出すように創意工夫されています。これはクライアントと広告代理店と制作プロダクションの仕事です。私は制作プロダクションから依頼を受けこのプロジェクトにCMディレクターとして参加します。具体的な映像プランとオーディオプランを作り上げ、それを基に撮影し仕上げていきます。私は、1989年から2007年までの間、リポビタンDテレビCMのうち、31本のCMに関してディレクションを手がけました。
松本:
リポビタンDのテレビCMは、真夏の炎天下で撮影されたように見えます。どこで、どれくらいの期間をかけて、撮影されたのでしょうか?
吉田さん:
まず、リポビタンDテレビCMの企画が決まって、その企画を実現するのに最もふさわしい場所を制作プロダクションが世界中の候補地から選考します。アメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、タイなどの候補地が挙げられます。例えば2004年丸太梯子篇の場合、断崖絶壁とそこにぶら下がった巨大な丸太の梯子が必要です。自然の中で大掛かりな仕掛けが可能で、天候が安定していて、現地スタッフが優秀でなければいけません。そこで選ばれたのがタイです。タイのスタッフは難しい設定をディレクターの意図にそって現実のものとしてくれます。制作期間は、撮影現場を探す為のロケハンに1ヶ月、打ち合わせの後、ロケーションに3週間、日本に戻って仕上げに1ヶ月、トータルでおおよそ3ヶ月かかりますね。
次のページでは、タイで撮影を行った「丸太梯子」編について、お話を伺います!
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