カラーコーディネート/カラーコーディネート関連情報

向日葵の花の力をかりたアートプロジェクト(4ページ目)

美術を楽しむ場は、美術館だけではありません。都市の中に黄色い向日葵畑をつくり育てるプロセスを通して、創造し、表現すること、そしてそれを繋げる力を総合的にアートとしてとらえたプロジェクトを取材しました。

松本 英恵

執筆者:松本 英恵

カラーコーディネートガイド

作品のモチーフとしての向日葵の花

片山雅史さんの作品『皮膜2001-向日葵』 ひまわりの花芯部の螺旋状の造型パターンを拡大し、描いた作品片山雅史さんの作品『皮膜2001-向日葵』
ひまわりの花芯部の螺旋状の造型パターンを拡大し、描いた作品

松本:
プロジェクトのテーマに向日葵を選んだ背景には、片山さんが作品のモチーフとして、向日葵の花を描いてきたことがあると思うのですが、どのようなきっかけで、向日葵の花を描くようになったのでしょうか?

片山さん:
1995年くらいまで、「風のなる日のために」「風の系譜」というシリーズのモノクロの作品を描いてきて、色のある作品、それも、黄色の絵の具で描きたいと思うようになりました。黄色は光の象徴であり、花粉など生きるもののエネルギーであり、ゴッホの作品「ひまわり」にも感動していました。もう1つは、向日葵の花芯部の種の配列のような螺旋構造のような、自然のリズムに興味がありました。この2つが重なりあって、向日葵の花を描くようになりました。
向日葵を描くための素材探しに、何時間も車を走らせて、郊外にある向日葵畑へ行きます。しかし、自分が子どもの頃は、もっと身近に向日葵の花がありました。このような自分自身の経験から、都市の中に向日葵畑を仕掛けてみたいと思うようになったのかもしれません。

絵画の楽しみ方

松本:
最後に、読者の皆さんに、絵画の楽しみ方について、アドバイスをお願いいたします。

片山さん:
絵画は視覚芸術といわれるように、何が描かれているかを見ることから始まります。しかしながら、画集で絵画を見るのと、展覧会の会場で実物の絵画を見ることの明らかな違いは、五感で感じることです。会場の中に絵がある。絵の表面が盛り上がっていたり、匂いがしたり、実物の絵は五感を刺激するものです。絵にはさまざまな情報が隠されているのです。
また、何が描かれているかを見た後、作者は、どうやってこの絵を描いたのか、何で描いたのかなど、5W1Hを読み取ろうとすることも大切です。例えば、古い絵画であれば、描かれた年代を知ることが、絵画を読み解くヒントになるかもしれません。

近代までは絵に額縁がついているのが一般的ですが、現代アートは額縁がついていないことが多いです。なぜ側面を見せるような環境をつくったのかを考えることも、絵画を読み解く1つの要素となるでしょう。
色彩についても、古い作品は、見た色を再現しようという意図が強いですが、近代以降、作者は色を自由に使えるようになりました。なぜこの色を選んだのか、そんなことを想像してみるのも楽しいでしょう。
絵画に関する専門的知識がなくても、絵画を読む要素はたくさんあります。例えば、絵に「無題」というタイトルがつけられていたとすると、「○○」というタイトルだったら、絵の見え方がどうなるだろうなどと考えてみるのと、新たな発見があるかもしれません。
絵を見ることは、ただ見ているだけではなく、自分の中に蓄積された情報とキャッチボールすることです。絵を単なるイメージだけで見ないことが大切です。これから行きたい展覧会が決まっているのなら、出かける前に、作者の伝記を読んでみるだけで、絵の見方がずいぶん変わってくるかもしれません。


大濠と福岡の子ども達を繋ぐ ひまわりプロジェクト
片山雅史+KUKL
mail:himawariproject@yahoo.co.jp
URL:" target="_blank">http://himawariproject.web.fc2.com/frame.html
美術家・片山雅史さん 作品『皮膜2001-向日葵』の前で
美術家・片山雅史さん 作品『皮膜2001-向日葵』の前で
片山雅史さん
美術家として活動、国内外で作品を発表。絵画、版画、ドローイング等の作品発表のほか、コミュニティーアート、ワークショップ等を手がける。近年は「皮膜」と題された向日葵の花芯や池の水面をモチーフにした絵画作品を描いている。現在 九州大学大学院芸術工学研究院准教授
京都市立芸術大学美術学部西洋画科卒業、同大学大学院美術研究科修了,1988年A.C.C.(アジアン・カルチュラル・カウンシル)の招聘により渡米(在ニューヨーク)、1995年文化庁派遣芸術家在外研修員として渡英(在ロンドン)

edition+ KATAYAMA Masahito/エディション・プラス 片山雅史展
日時:2008年8月20日(水)~8月30日(土) 12:00~19:00
※水・木・金・土のみオープン、日・月・火はクローズ
会場:a piece of space APS
〒104-0061 東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル511号室
T&F:03-3567-4330
mail:info@a-piece-of-space.com
URL :
www.a-piece-of-space.com


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