部屋に応じた映像調整は必須!

技術面で成熟の進んだ薄型テレビ。「高画質」は、スペックよりもむしろ、設置場所に応じた映像調整こそが重要と言えます。それはここ最近、部屋の明るさや照明の色あいを検知して、自動で映像を調整する製品が増えつつある事でも裏付けられます。

では、従来の、自動映像調整機能が搭載されていないテレビの場合、どうすれば「高画質」を引き出せるのでしょうか?

実は、ユーザーがリモコンで調整可能なのですが、製品の取扱説明書には、一部のメーカーを除き、調整方法はおろか、各調整項目が何に対する「調整」なのかさえも明記されていません。これでは、実質、調整は不可能と言えます。

今回は、「薄型テレビの映像調整方法(初級編)」の続編として、広く普及している液晶テレビを対象に、ユーザーが自身で正しく映像調整する為に必要な映像基礎知識と、映像調整方法ご紹介します!

※この記事でご紹介している調整方法は、「薄型テレビの映像調整方法(初級編)」の続編です。前提となる基礎知識や調整は、「薄型テレビの映像調整方法(初級編)」で解説しています。


映像の5大調整項目を整理

パナソニック「ビエラ」(液晶)の映像調整画面。

パナソニック「ビエラ」(液晶)の映像調整画面。

まず、液晶テレビの映像調整における5大項目は、以下の通りです。

  1. バックライト
  2. ブラックレベル
  3. ホワイトレベル
  4. カラー(色の濃さ)
  5. ティント(色あい)

写真は、パナソニック「ビエラ」(液晶)の映像調整画面ですが、パナソニックに限らず、いくつかの項目は、筆者鴻池の挙げた5大項目と一致しません。これは、調整の対象が同じながら、各メーカー間や関連業界で統一した用語が使われておらず、「呼び方」が異なる為です。

以降の解説で混乱しないよう、まず、ISFの推奨呼称を基準とし、大手テレビメーカーが使用している呼称を整理します。
映像調整項目・メーカー間対照表

映像調整項目・メーカー間対照表


対照表では、いくつかの違いにお気づきでしょう。 特に、「明るさ」については注意が必要です。 シャープでは、バックライトの「明るさ」を調整するのに対し、ソニーは「ブラックレベル」の調整、日立では「ホワイトレベル」の調整と、異なる項目を指しています。 

ちなみに、大手メーカー製品以外の、いわゆる格安製品では、同じブランドでもモデルによって違いがあったり、単に日本語訳が間違えていたり、調整項目自体が欠けているケースなどもありますので、この対照表には入れていません。


バックライトの調整方法

液晶で作り出した映像を、後ろから光源(バックライト)で照らし出す仕組みを持つ液晶テレビならではの調整項目です。ブラウン管やプラズマなど、自発光方式のテレビに、この調整項目はありません。

「バックライト」では、光源となるバックライトの明るさ自体を調整します。ステンドグラスに例えると、太陽が沈むと、見え方が暗くなるのに似ています。

調整のポイントですが、周囲の明るさに応じて、映像が眩しくなくなるまで充分に暗く設定します。例えば就寝前など、消灯して部屋が暗い場合、「バックライト」は、かなり暗く設定する事になるでしょう。眩しさを抑えだけでなく、人間の黒髪や影など、映像の黒部分が白っぽく浮くのを緩和でき、画質面でも有利です。

逆に、直射日光が差し込むような部屋では、映像がハッキリと見えるまで、明るく設定します。

ちなみに、バックライトの明るさは消費電力に直結します。昼間なら、ある程度遮光し、バックライトはできるだけ暗く設定するのが得策です。

なお、格安メーカー製のテレビでは、バックライトが調整できない製品や調整幅が狭い製品が多くあるので、購入時は注意が必要です。

ブラックレベルの調整方法

日陰に注目。黒が潰れていると、情報が欠落し、その部分の立体感も失われる。

日陰に注目。黒が潰れていると、情報が欠落し、その部分の立体感も失われる。

「ブラックレベル」では、映像の黒部分の「明るさ」を調整します。ステンドグラスに例えると、太陽の光はそのままで、透過率の悪いガラスを使うことで、見え方が暗くなるのに似ています。

「ブラックレベル」を暗く設定し過ぎると、人間の黒髪や影のように暗い部分が潰れ、映像全体が平面的になってしまいます。逆に明るく設定し過ぎると、映像の黒部分が明るくなり、コントラストの弱い、締りの無い映像になってしまいます。

調整のポイントは、人間の黒髪など、映像の黒部分を頼りに、立体感や細部の様子が見えなくなるギリギリまで暗く設定します。こうすることで黒に含まれる細かな情報を損なうことなく、コントラスト比の高い、ダイナミックな映像が楽しめます。

ホワイトレベルの調整方法

空に注目。白飛びしていると、情報が欠落し、その部分の立体感が失われる。

空に注目。白飛びしていると、情報が欠落し、その部分の立体感が失われる。

「ホワイトレベル」では、映像の白部分の「明るさ」を調整します。ステンドグラスに例えると、太陽の光はそのままで、透明に近い、透過率の良いガラスを使うこと
で、白く明るく見えるのに似ています。

「ホワイトレベル」を明るく設定し過ぎると、青空に浮かぶ雲が飛んで見えなくなるなど、元の映像に忠実ではなくなってしまいます。逆に暗く設定し過ぎると、太陽やライトの輝きが抑えられ、コントラストの弱い、つまらない映像になってしまいます。

調整のポイントは、青空に浮かぶ白い雲などを頼りに、細部が見えなくなるギリギリまで明るく設定します。こうすることで、白に含まれる細かな情報を損なうことなく、輝きが感じられる、コントラスト比の高い、ダイナミックな映像が楽しめます。

色の濃さ/色合いの調整方法

プロの世界では、カラーバーと呼ばれるテストパターン映像を使って、色の濃さや色合いを基準に合わせるのが一般的です。しかし、バックライト、ブラックレベル、ホワイトレベルに比べ、色の濃さや色合いは、比較的、周囲の照明環境の影響を受け難いといえます。一般的なご家庭の場合、工場出荷時の設定で不満はないかもしれません。

調整する場合のポイントは、普段から見慣れている人間の肌色を頼りに、自然に見えるように設定します。好みに微調整するのも良いでしょう。

さいごに~さらに高度な調整

今回は、一般的なテレビユーザーを想定し、特別なツールを使わない範囲で、簡易的な調整方法をご紹介しました。

さらに高度な調整としては、映像調整の基準となる映像テストパターンを用いた方法や、測定器を用いたマニアックな世界もあります。当「ホームシアター」サイトでは、これらを上級編として掲載予定していますので、お楽しみに!

※上級編の掲載日は未定です。お急ぎの方は、以下のサイトをご参照ください。
外部サイト: ISF(Imaging Science Foundation) のメソッドに基づく映像調整手順


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