子供英語教育も「ややこしや~」
数年前から「英語であそぼ」という番組がありますが、少しマンネリ化したなという印象がありました。一方で、今春からスタートしたNHK教育番組の「にほんごであそぼ」がかなりの人気を得ているようです。この「にほんごであそぼ」は毎朝8時から10分間流れており、古典的な日本語を子供向きに面白おかしく聞かせてくれるよう工夫されています。
KONISHIKIさんが何の衣装かわかりませんが、ド派手なオレンジの服を着て、松尾芭蕉などの句をひたすら読む・・・そして、子供たちと一緒にその言葉だけで遊びを展開していきます。母国語が英語のKONISHIKIさんが日本語を、それも古典を言うというコンセプトが愉快です。
さらに!野村萬斎さんのコーナーは最高です。「ややこしや~」というフレーズ、「私がそなたでそなたが私?」など私でさえ耳に残り覚えてしまいました。子供ならすぐに真似するにちがいありません。野村萬斎さんのキャラもあるでしょうが、大真面目なのにどこか笑える要素がありますね。
古典的な日本語は子供にとっては外国語のようなものでしょう。全く異質な言語のように聞こえるかもしれませんね。でも子供はこの10分間を楽しんで観ています。早い場面展開、バラエティに富んでいる内容、面白おかしく子供の心をひきつける・・・これは子供への英語教育のレッスン展開に重ね合わせてみることができます。
「声に出して読みたい日本語」は日本語の美しさを再認識させてくれた本です。これは子供用の本ではありませんが、小学校の授業でも結構使われているようですね。子供に日本語を教育する意義って何でしょうか?子供は日本語を話せます。もちろん、母国語ですから。それをあえて日本語を読ませ、日本語での表現力を養う教育をしています。
このような日本語教育は「話せる・使える」ということを目標に行っているわけではないでしょう。つまり、一言で表現すると、この教育を通してより良い日本人を育成しているのです。もちろんいろんな方向性を細かく見ていかなければいけませんが、子供のアイデンティティをこれら日本語学習を通して確立していくとう目標が見え隠れしています。
さて、英語教育について考えてみましょう。文部科学省が必死になっている構想に「英語が使える日本人」というアクションプランがあります。よく「英語が使える日本人」を「英語が話せる日本人」と言い間違えるのですが、どこが違うかわかりますか?あえて「使える」と言葉を選んだ文部科学省はエライ!「使える」には日本人としてのアイデンティティを持ちながら英語で自分を世界に向けてアピールしていく自己表現ができるという意味が込めれらています。
子供への英語教育は「使える・話せる」の第一歩。小学生の段階では「真似して言える」ことが大切だと思いますが、もう少し欲張れば、「思ったことを単純な英語で表現できる」ことまで目標にしたいですね。でもそれはなかなか難しいことです。
結局子供への英語教育には二面性がありますね。一つ目はツールとしての英語習得、二つ目は人格形成過程における英語教育です。英語を通して世界に目が向くわけですから、視野も広がるでしょう。どちらかといえば、児童期の英語教育は二つ目の効果の方が大きいのかもしれません。子供をバイリンガルにするにしても心も一緒に成長させていかないと中身のないバイリンガルができてしまいます。
何のために子供に英語教育をするのか・・・今一度よーく考えてみませんか?いろんな要素が絡み合って本当に「ややこしや~」と叫びだすかも知れませんね。