妊娠の基礎知識/高齢出産

妊娠・出産は「何歳でも」おめでとう!

高齢出産が増える現代において、喜びの妊娠を「おめでとう!」ではなく「大丈夫なの?」と受け取ってしまう周囲の声が多いようです。いつでも命のはじまりは喜ばしいもの。受け止め方について考えてみましょう。

大葉 ナナコ

執筆者:大葉 ナナコ

妊娠・出産ガイド

増える高齢出産と高齢妊婦さん

妊婦さんとパートナー
高齢出産の取材が激増しています
高齢出産が増加していることはご存じと思いますが、厚生労働省によれば、2013年に40歳以上で出産した女性は4万7662人で、30年前の1985年当時(8469人)の5~6倍に増えています。当時の同じ統計によれば、35歳以上の出産は全体の16%に上り、うち第1子出産が3人に1人という状況であったとのこと。

昔であれば20歳代が出産適齢期だと認識されていたかもしれませんが、現在では35才以上の出産が全体の26%なのです。とはいえこの26%のみなさんが高年初産なのではなく、第1子の平均初産年齢は29.9才、第3子の母の平均年齢は33.4才です(厚生労働省「平成26年(2014)人口動態統計」より)。

妊娠報告に「大丈夫?」の声、「おめでとう」の声

これだけ35歳以上の妊娠・出産が当たり前のようになってきたにもかかわらず、世の中では相変わらず「高齢出産で大丈夫なの?」としか言わない人もいます。

私が代表を勤めるベビー&バースフレンドリー財団では企業内の妊娠出産支援の講座を行っていますが、あるアンケートで、職場で妊娠を報告したら「本当に大丈夫?」と言われてしまってがっかりした、という35歳以上の女性が多くいらっしゃいました。

一方、直属の上司が「良かったね! おめでとう」と心から言ってくれ、時差通勤や仕事の割り振りについて相談に乗ってくれた、という喜びの声もありました。

新しい命がやってくるのは「おめでとう」

ママと赤ちゃん
新しい命がやってくるのはおめでたいこと!
その人が何歳であろうと、何人目であろうと、新しい命がやってくるのは喜ばしいこと。心から「おめでとう」という言葉をかけてあげられる社会になればと思います。

特に高齢出産は、リスクのことから先に取り上げられてしまいますが、満を持したという大きな喜びがありますよね! 人間的にも成長、成熟してから新しい命を授かった母親は、これまでの人生経験があるからこそ、小さなことでも喜ぶ力が備わっているのです。

これまで仕事などにがんばって力をつけてきた方ほど、妊娠・出産をきっかけに、本当に大切なものの存在に気付き、無駄なものには翻弄されない力、嫌なことは嫌だという力を得て、さらに豊かな人生を送っていらっしゃいます。

このタイミングがお母さんになるベストな時期

ですが、中には高齢出産で産むというご本人が「私は遅いから」と、自己卑下をしている場合があります。周囲に言われる前に言ってしまおうという、一種の自己防衛かもしれませんが、同じ立場の女性や後に続く女性たちのためにも、もっと自信を持って欲しいです。

産む本人たちはもちろん、周囲の人たちも「今、自分が、この人が、お母さんになるベストな時期なんだな」というまなざしで見守ってくれたらと思います。

どんな形でも、子育ては命の原寸大を知ること

赤ちゃん
子どもの成長につれて、子育てのステージも変化します
さて、高齢出産で妊娠・出産を果たしたお母さんは、赤ちゃん時代、幼児期を経て、小学生、中学生、そして大人になるまで「子育て」は続きます。

受験のことや反抗期のことで悩む場面も出てくるでしょう。一難去って、また一難です。でもそのたびに、子どもの成長を確認する喜び、楽しみは尽きません。子どもの表情には、そのときしか見せてくれない世界があるのです。

人生がおよそ80年だとしたら、子育てを人生の前半にスピーディに終えた人もいれば、人生の後半に楽しむ人もいる。それは極上のスローライフかもしれませんよ。早く産んだ人も、ゆっくり産んだ人も、どちらがデメリットということはなく、おあいこ。自分の生き方を楽しむべきです。そう考えると「高齢出産ママだと、授業参観のときに恥ずかしいかも……」なんて心配はナンセンスですよね。

あんなにはかなく小さい命が、成長していく姿を目の当たりにすること。育てるということで、命の原寸大を知ることができます。高齢出産で子育てを楽しむ人も、ご自分では授からなかったとしても養子縁組で母になることもできます。周囲の子どもたちを可愛がり、子育て支援、里子や養子などで子どもを育てる人も、仕事や社会参加とを通して次世代を育てる人も、女性も、男性も、次世代を育てていくことの喜びと大切さに正面から向きあえたら、これから産まれてくる子どもはみんな「おめでとう」と祝福することの意味合いも強くなってくると思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※妊娠中の症状には個人差があります。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。体の不調を感じた場合は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。

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