必要のない「こだわり」が消えた
出産によって新しい仕事を生み出すことも |
でも、子どもが生まれた後の「自分はこうでなくてはならない」という決めつけから開放されたという方も多いものです。
38歳で出産されたある女性は、妊娠する以前から、夫に「故郷で有機野菜を配送する仕事を一緒にやっていかないか」と誘われていましたが、自分の方が仕事をやめて行くなんて不公平だし、その仕事にも乗り気になれない」と感じていたそうです。その後、妊娠・出産を経て、自分がこれまでやってきた仕事に対して、「やるだけやった満足感」と「自分でなくてもいいかも。若い世代に引き継いでもらいたい」という区切りを感じたといいます。
その後、子どもの成長を経て、以前から夫に誘われていた有機野菜の配送の仕事をご夫婦でやっていくことになりました。夫からの誘いに「子どもに安全な食材を提供したい」という思いが後押ししたのだといいます。
育児からヒントを得て起業
モーハウスというブランドを持つ、モネットという会社の授乳服のことは、これまでもおすすめの育児グッズとしてご紹介してきましたが、この会社を運営する女性も3人の子どもの妊娠出産、そして育児をきっかけに起業された方の一人です。母乳育児を行っていた彼女が、2人目の子どもの育児中に、電車の中で授乳しなければならない状態になりました。ところが周囲に人がいる状況では授乳はままなりません。このときに感じた苦労が後にヒントとなって、母乳育児をする母親がいつでもどこでも授乳がしやすい、そしてお洒落な授乳服の開発に至ったということです。
育児という経験から起業のヒントを得て、子どもが3人いる状況でも会社を起こしたという素晴らしい例だといえるでしょう。
かくいう私の場合も、バースコーディネーターという現在の仕事は、5人目の子どもを出産してから始めました。それ以前もフリーランスで、育児番組のコーディネートや出版社勤務をしてきましたが、「自分が何をやりたいか、何を伝えたいか、自分らしい働き方」ということを考えたとき、妊娠・出産・育児を通して実感した「いのち」のことを伝えていくバースコーディネーターという仕事を「産み出す」ことができました。