高齢出産に関する情報が少ない?
高齢出産に関する情報が少ない? |
過日「35歳を過ぎると羊水が腐る」という女性歌手の発言が物議をかもしたことは記憶に新しいと思います。無知や誤解で余計な不安をあおられることなく、リスクに対して備えられるところは備えることができるような情報発信をしていきたいと思っています。
高齢出産のメリットとプレッシャー
さて、高齢出産のメリットとして「ある程度の年齢になっているので、出産や育児に対しての精神的余裕があるはず」といわれることは多いと思います。確かにそう言えるとは思うのですが、それが逆にプレッシャーになってしまうこともなきにしもあらず。「精神的余裕があると思われているから、気軽に相談できない」というプレッシャーで、反対に不安が大きくなり続け、ネガティブになってしまったというケースもあります。高齢でも高齢でなくても
妊娠・出産で不安を感じるポイントは同じ
出産・育児に不安があって当たり前 |
それぞれに事情は違うと思いますが、20歳代~30歳前半の間に、さまざまな人生経験を積まれているはずです。それが「妊娠・出産も精神的余裕があるはず」につながるわけですが、経験を積んできたことの延長線上にあることならいざしらず、初めて経験することに関しては、20歳代の母親であろうと、35歳以上の母親であろうと、不安を感じるポイントは同じはずです。子どもの障害が気になる、などは高齢初産の方は深く悩まれることもありますが、20代のママでも、子どもさんの病気は気になるもの。健康度が高いから妊娠したのだとまずはポジティブにご懐妊をお喜びいただきたいです。
経験がないことはこわくて当たり前
仕事をがんばってきた35歳以上の女性であれば、仕事では予定調和が前提で、これまで自分の能力と努力で予測を立ててマネジメントできてきたこと、合理的にことを運ぶという得意技が、妊娠・出産という分野では通じないことも多いもの。でも妊娠出産は予定調和。いわゆる「バリキャリ」の合理的な思考とは対極にある「ゆるむ思考」が大切になる妊娠・出産、そして育児に戸惑う場面は多いでしょう。経験のない、これまでは苦手と思ってきたことであれば「こわい」と思うことも当たり前のことなのに、キャリアを重ねてきた方ほど、それを周りの人に宣言したり、不安に思うことを相談したり、ということができないようです。「余裕を見せなくては」と装ってしまったり、自分自身で「余裕があるべき」とプレッシャーをかけてしまったりしがち。
それが原因となって、高齢出産の方のほうが、育児不安が大きくなっているという場合もあります。
いろいろな現実に反応して、気持ちが弱くなっても大丈夫。私は実際に高齢出産をする女性たちと接するとき、「不安があって当たり前だから、ちゃんと相談してくださいね」というメッセージを伝えることを心がけています。「こわい」と思って、自然なことなのです。お腹の赤ちゃんは、ママの自然な心の揺れを育児レッスンを、受け止めてくれているのではないでしょうか。