未成年の中絶を防ぐのは「親子の対話」
日ごろから親子でコミュニケーションをとることが一番大切 |
日本家族計画協会「10代の性行動について」の調査によると、親とよく話したと答えた人ほど中絶の割合が低く、あまり話さなかったと答えた人とくらべると、約20%の差があります。望まない妊娠および中絶を防ぐには、親子が日ごろから性以外のことでも良くコミュニケーションをしておき、お互いに向き合って対話し、ハイティーンになる前から性についても話をすることで、後で後悔するような性行動に一定の歯止めをかけることができるのではないでしょうか。
性教育は小さい頃から
性についての話を、10代後半になってから急に始めるということも難しいことです。まだまだ小さい頃から、親子で「誕生の話」「自分たち親子の始まり」について話をすることが大切なのです。「9つまではひざの上」と言いますが、それこそひざの上にのって「命の始まり」を含めたいろんな話をした家族と、ひざにぜんぜん乗らなかったという家族では、「親子の対話」の土壌が違います。まだまだ子どもだと思っていても、人は10歳になる頃から脳が大人への階段をのぼり始めてしまいます。小学3年生たちは、やれ「エロい」とか、「男子が」「女子が」とか、そんなことを言い始めています。最初に出会った知識は常識化しやすいもの。最初に触れた性の情報がどんな内容かによって、その子の受け止め方は違ってくるでしょう。
世界では、10歳から男子だちはアダルトサイトを見始めると調査結果があります。
性教育が、通り一遍の「おしべが、めしべが」と植物の受粉で終始していたり、避妊の知識のみに終始したり、はたまた単に過激なだけのセンスのないものだったりでは、子どもたちは本当に聞きたい肝心なことを知ることができないまま、巷に溢れる不健康な性情報にさらされてしまう可能性もあります。性へ関心を持ち始めた頃に、「それは素敵なことであり、命をつなげていく大切な行為」であることを、親が堂々と伝えていけることが大切です。
いのちの大切さを身をもって体験
親子でお出かけ下さい |
第1回の2006年には約300人の親子が集まり、「生まれてきた力、生きる力、感じよう!」をテーマに子ども達がいのちや誕生を実感できる体験コーナーや、助産師による仕事紹介などのワークショップコーナー、これから思春期を迎える子どもを持つ保護者に向けて産科医や助産師の講演、普段学校等のゲストティーチングで行っている「誕生学」のデモンストレーションなどが行われました。
たとえば「誕生ってスゴイ」のコーナーでは、布団や毛布、ダンボールなどを利用して作った「子宮袋」と「骨盤トンネル」で、子どもたちに入って産まれてくるときのイメージを実感してもらいます。子宮の暖かさと軟産道を思わせる「子宮袋」と、回旋と骨産道を思わせる「骨盤トンネル」。誕生学を受講した子どもは、きちんと自分で回旋して出ていました。
「いのちってあたたかい」のふれあい体験コーナーでは、実際に妊婦さんや赤ちゃんたちと触れ合っていただいたり、母乳のことを知るコーナーを設置。赤ちゃんのやわらかさ、妊婦さんの幸せオーラに触れた子どもたちのキラキラとした瞳が印象的でした。
「いのちって重い」のコーナーでは、0.13mmから始まった受精卵から、生きるための練習をしながら大きくなっていく赤ちゃんを体感できるパネルや人形を用意。「こうやって成長してきた自分って、すごいなー」という気持ちを持ち帰ってもらえるよう工夫されています。
子どもたちの自尊感情を育てる
命のことを知ることは、自分自身が大切な存在であることを知り、自尊感情を育てることに大きく貢献します。日本の子どもたちは他の国の子どもたちと比べて自尊感情が低いとも言われています。また、いじめや自殺なども後を絶ちません。性の話を「命の始まり」として受け止め、自分自身をかけがえのない存在として再認識できるイベントと思います。小学生のお子さんを持つ方を対象として企画していますが、イベント自体は3歳くらいから楽しめる内容。入場料も無料ですので、ぜひ参加してみてください。いのちのことをお互いに語り合いましょう!
<関連記事>
実は増えている!40歳代の中絶