現代の「孤独な子育て環境」は歴史上初めて?
子どもの未来のために協力する育児を |
が発表されました。これは大阪人間科学大学の原田正文教授が02年から04年の3年間に厚生労働科学研究の一環として行った調査で、兵庫県内のある市の全乳幼児健診対象者・約5000人の保護者にアンケートを行ってまとめられたものです。
このレポートによると、「子育て中の母親の孤立化」が20年前よりさらに進んでいるということが明らかになりました。同調査で「近所に、普段、世間話や赤ちゃん(子ども)の話をする人はいますか」という問いに対して、「いない」と答えた人が増えています。また、「子育てを大変と感じますか」の問いには6割前後が「はい」と答え、子どもの月齢とともに負担感は増えています。これも20年前は、育児は大変だけど楽しいと答える仲間が多かったことも影響すると思います。同じく「育児でイライラすることは多いですか」の問いにも「はい」と答えた人が20年前の3倍近くまで増加!
一方、「赤ちゃん(お子さん)をかわいいと思いますか」という質問では、多くの人が「はい」と答えていることから、子どもに対してはプラスの感情を持っていることがわかります。生まなければよかったと思っているわけではなく、育てるのは予想以上に大変ということでしょうか?
父親の育児参加は増えているが……
一方で夫や親族の協力度は、回答によると2倍ほど高まっているという値も出たようです。現代は核家族が70%という時代ですので、家族といえば夫。手伝ってくれる身内がいるかどうかについても、母親が実家に頼る傾向が増えているのも、夫たちの仕事が高度経済成長期同様、なかなか早い時間に帰宅できない現状を示しているといえます。母親側の実家と夫婦の住まいが近いのかといえば、夫婦の勤務先が関係しているので距離が近くなっているわけではないと思われます。しかし、経済的に妻が実家の親に育児支援してもらうために高い交通費を出せるという現状は新たに生じているでしょう。中には子どもが生まれるので、田舎の両親を同居させるために三世帯同居用の家を立てたという共働きカップルも少なくありません。経済力に比例して、自分の支援してほしい人に支援を求められるとしても、ご実家が地元でご商売でもしていれば無理な話ですが。なにはともあれ、交通も都市機能も発達してくると、三世代同居より、支援合宿のようなサポート体制も整うことでしょう。
また、「育児について心配な時、一番頼りにする人は誰ですか」という質問では、「夫」を挙げた人は80年調査よりも減少傾向にあり、父親の育児参加は進んでいるけれど、最も頼りにする相手としては認められていないということになります。これは、「土日は子どもと遊んでくれるけれど、日常では頼りにならない、しない」という判断の現われと見て取れます。