出産準備/共働きの妊娠・出産

カミナリ親父よ、もう一度!

いじめが当たり前になってきた子供社会は、大人社会の縮図。今回はいずれ10代になりゆく子どものために、今から共働き家庭として築き始めるべき「家族力を発揮する新しい父性」について考えたいと思います。

大葉 ナナコ

執筆者:大葉 ナナコ

妊娠・出産ガイド

子どもは父親の背中を見て育つ
子どもと過ごす時間はかけがいのないもの
「日本が世界に誇るべき『父親力』とは?」で夫婦共働きの多い東京では、週7回毎日家族と夕飯を食べる父親は17%とお伝えしました。ほとんどが共働き夫婦という国で、3分の1の家族が週7回家族そろって夕飯を食べる国々は、スウエーデンやデンマークやオランダなどゴマンとあるのに、日本はすべて仕事優先社会で子どもは孤食。果たしてこれでいいのでしょうか?

子どものいじめ・自殺……。母親中心より夫婦中心育児を!

夕飯に家族が揃わないどころか両親とも不在で、子どもが一人で晩御飯を食べる孤食家庭では、健全な自尊感情を育めるわけがありません。いじめ問題も自殺問題もあふれ出ている昨今、私は個人的には学校の責任ばかりではないと思います。いじめられる子は被害者ですが、いじめる子の心の歪みをフォローしない、ではどこで親が介在するのでしょう?

「自殺でいじめの復讐」という発想を生んではいけないし、いじめた子にとっても「自分が原因で相手が自殺=殺人?」という人生を背負うのもまた悲しいもの。この負の連輪を断ち切るのは、シンプルですが、夫婦が協力して、地域と学校と連携して子どもを守ることを実践していくほかないと思います。

誰もが「自分のせいじゃない」を決め込んでいる社会では、いじめも自殺もなくなりません。妻がわが子を出産をする日でさえ、顧客の幸福を考えて職場にいなくちゃいけない国って、いったい何が人生の幸福なのでしょう? 「世間一般が」とか、「会社で上司に睨まれる」なんて言っている場合ではなくなってきました。働くお父さんたち、家庭でも働く出番です。

つい最近まで「みんなで育児」だったニッポン

戦前の日本は、子育ては大家族や地域社会の中で行われていました。戦争や戦後の日本に生じた産業構造の変化に伴って、男性の企業勤務、女性が地域で専業主婦という社会構造が一般的になったのが高度経済成長期。自宅出産数と施設出産数が入れ替わったのが1960年で、自宅でのご臨終数と病院でのご臨終数が1970年に入れ替わり、お見合い結婚と恋愛結婚が入れ替わったのが1975年。この間に、都会に住民が集中してすっかり核家族化が進行しました。

今は晩婚晩産がゆえの少子化といわれますが、「結婚したら子どもは3人欲しい」というフレーズがまだ当たり前だったバブル期突入の1985年でさえ、平均初産年齢25.8才で、25才女性の25%はすでに母親だったのでした。当時の合計特殊出生率は1.76で、3人兄弟もたくさんいました。つい最近まで、子だくさん家庭はたくさんあり、まだまだ地域で子育てをしていたのですね。

現代の日本は約7割が核家族。育児マンパワー不足が少子化の一因とも言われています。しかし、育児力を人数不足で言い訳して少子化傾向どころか、その質の低下によって子どもを自殺させてしまう国になってはいけません。核家族社会の子育てだからこそ、実は父親が母親を助ける以外にマンパワーはありません。共働きならなおさら、父親が母親のサポートをしない家庭で育ったら、子どもが「困っている人を助けないでいい社会」を学んでしまいます。どんな時代であれ「子育ては父母の共同作業」という認識には大きな差はないはずで、事情は様々あるにせよ、両親がいなくては命は始まりません。命の素を出会わせて宿して迎えた男女が揃って子育てに当たることは、なにより子どもに、いつか自分が大人になったときの世界への希望を与えるのではないでしょうか? 子どもは男子か女子ですから。
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