子供が病気になったら、預け先はどうする? |
中にはベビーシッターさんや祖父母の手を借りて、幼稚園で過ごさせる家庭もあるでしょう。居住する地域ごとに「働く親の子どもをあずかってくれる場」はさまざま。今回は子どもが病気の時に登園できない場合、共働き夫婦を助ける知恵についてご紹介します。
37.5度が境界線?子どもの登園
保育園入園。「慣れてきたなぁ」と親子ともども感じるころ、ゴールデンウィークが来て間延びする1学期。また5月になると水疱瘡などの伝染性の小児病も増える季節で、入園早々発熱で会社から呼び戻されたり、ということも起こりうる季節。急な保育園からの呼び出しがあり、駆けつけるまでの1~2時間はケアしてくれるものの、仕事がどうしても抜けられない時に、共働きカップルはどう対処しているのでしょう?
だいたい多くのカップルの現状は
- 祖父母や親戚が同居、近隣居住している家族は、祖父母親戚によるサポート
- 日頃から契約しているベビーシッターに急にお願いする
祖父母や親戚が近所にいると、小さい子の育児はラクになると思われていますが、昨今は祖父母も親戚も昼間は働いていることが多く、そうそう頼めない、という家族も多いのが現状です。日ごろから契約しているシッターさんが、約束外の日に、急に対応できるかどうもわかりません。
さぁ、この発熱や急な病気とは、どのように付き合っていくといいでしょうか。
まず、よくある微熱の発熱は、そもそも東洋医学では、子どもの発熱は、身体に入った病原菌を焼き流すために起こる生理機能で、誕生から3歳頃まではいろいろな病原菌の免疫を作るために、一年のうちに何回か発熱することは健康なこととされています。こうして、病原菌に出会っては抗体をつくるために一度は体内に入れて、後で熱処理して出す、というのが発熱。
こうして空気感染する病原菌に抗体をもって強い身体に成長していくのですから、「発熱は敵視するものではない」というセンスを持っておくことも共働きカップルのストレスマネジメントになるかもしれません。「お、今回も、また新しい抗体をGET したな!」と。
麻疹(はしか)やおたふく風邪など、法定伝染病の類は39度とか40度出る子もいますが、この“よくある発熱”は、子供にもよりますが、だいたい38度半ばくらいが最高温だったりします。しかも小さな子どもは、38度程度の発熱中も元気だったりします。
元気は元気なのに、保育施設では、「37.5度以上あると帰宅」というのが一般的。なにしろあっという間に高熱にあがることもありますし、発熱して熱処理した病原菌を、汗をいっぱいかいたり、下痢や咳で病原菌の死骸を体外に排泄したりするので、その状況を親がケアしてよくみておくことが大切です。さぁ、子育て最初の3年間、この37.5度の壁は、何回発生するでしょう?!
困った時に病児保育
次世代育成支援法の成立によって、年5日までの看護休暇が認められた職場も増えましたが、それでも、急な発熱による呼び出しに対応できないこともあるでしょう。理想は、交通事故でも急な発熱でも、子どもの病気の時は、緊急事態として、仕事場から帰宅させてもらえる社会システムが一番です。しかし、現状はまだまだ理想には遠い……。その理想のシステムが整うまでには、声を上げ続ける世代が続かなくてはなりません。子供の病気の中でも、微熱の発熱はよくあることで、交通事故や外科的な怪我ほど重篤ではない場合、仕事との優先順位を天秤にかけてしまうカップルも少なくはないのではないでしょうか。仕事が組織で取り組み、人を相手にしている仕事なら、なおさら。自分以外に替りの人がいない業務を担当をしていて、急にその場を去れないことは、よくあることでしょう。
子供のことを愛しているけれど、職場にもそうそう迷惑をかけられない。じゃあ女性は、「子どもが小さいうちは、いつでも休めて辞められる仕事を」という考え方がされがちですが、これこそ、女性の出産する気持ちや第二子出産の希望を削いでしまっているのが現状です。
そこで、子供の急な発熱などで困った時に助けてくれるシステムとして、いち早く登場しているサービスが、NPO フローレンスの「病児・病後児保育サービス」です。このフローレンスは、特定非営利活動法人で東京都江東区で始まり、2005年4月から、中央区と江東区で「子どもレスキューネット」なるシステムを稼動。小児科医とベテランママによるレスキュー隊は“かけつけ隊”と“在宅隊”があり、子どもの急な発熱時には園に迎えにいってくれるそう。
利用できるシステムには個人向け、法人向けとあり、個人向けではバリュータイプとスタンダードタイプがあるそう。入会金20000円で月会費5000円のバリュータイプ、月会費7000円のスタンダードパックなどメニューは様々。スタンダードパックでは事前に保育担当者と子どもの間に顔なじみの関係を作ってくれ、月に8回程度保育園の迎えを依頼できつつ、病気の時には急な対応もしてもらえる!登園にはまだ早いかな?という時期の病後児保育もサポート。日本全国にこのフローレンスの活動が広がれば、多くの親子がどれだけ救われるかと思いませんか?ぜひ、アクセスして、自分たちの居住地域にもこのシステムが欲しいというお声を発してみてください。
行政では2003年に「乳幼児健康支援一時預かり事業」として全国で始まっています。東京都内では、保育システムのバリエーションが豊富で共働きの多い目黒区、品川区、渋谷区では病児病後児保育サービスが公立保育園で開始しています。区内にいくつか拠点があり、居住地域からは駅なら1~2駅程度距離があるかもしれませんが、どちらにしろ、子どもが発熱中なら、タクシーを利用するでしょう。大きめの病院にいくよりも、近い場合も多いかもしれません。病時保育には、さらに重篤な感染が園内で起こらないよう配慮された運営が要です。ご自分のお子さんが、病気の時、どんなシステムがあれば、働く親として子どもをケアしていけるか、リサーチしておきませんか?
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