世界では「1分に1人」の割合で、妊産婦死亡が起きている
国際家族計画連盟(IPPF)事務局長ジル・グリアさん。途上国の女性を支援するエキスパートです。 |
グリアさん 出産というものは天からの贈り物で素晴らしいことです。でもそのために、わかっているだけで少なくとも年間50万人以上の女性が命を落としています。この数字はこの15(20)年間ほとんど変わっていません。そのほとんどはアジアやアフリカのサハラ以南の国々に集中しています。
その死亡の三大原因は、出産に立ち会う技術を持った専門家が足りないこと、いざという事態に対応できる医療サービスが不足していること、そして家族計画ができないことですが、他にも理由は山のようにあります。そもそも医療、保健のシステムが整っていませんし、女性が性や出産のことを自分で決められず男性にはノーと言えない問題があります。児童婚もよくあることなのです。
身も心も未熟なまま妊娠し、命を落としていく10代の少女たち
児童婚とはどういうものですか。グリアさん 10~12歳の少女たちの妊娠です。国によっては、男性はごく若い女性と関係を持っていることがステータスになります。「シュガー・ダディ」と呼ぶのですが、裕福な年長の男性が「お菓子をあげるから」といった誘惑をして、少女たちがなかでなかば強制的にセックスを強いられているのです。子どもがたくさんいることが誇りになっている文化もあり、そこでは避妊の知識はなかなか根付きませんね。
ローティーンがどんどん妊娠していくのですか。そのように女性がものが言えない立場にあることが出産の危険につながるというところを、もう少し詳しく教えてください。
グリアさん 若い未婚の母は差別を受けるので、危険な中絶に走って命を落とすことも珍しくありません。国によっては、劣悪な中絶が妊産婦死亡の四割を占めているほどです。また、先進国ではほとんど見られませんが、フィスチュラという、腟と排泄物などの通り道がつながってしまう障害も若年妊娠で起きやすいのです。
ナイジェリアの女性は病院に行くのも夫の許可が必要です。彼らにとって現金はとても貴重で、女性はそれをできるだけ使わないようにと言われているんですね。許可無く病院に行った場合は、家から閉め出されることもあるんです。