産科危機のあおりを受ける高度医療施設
大阪でも産科はどんどん減っているそうです。病院によっては、近くの産科がどんどん閉鎖したため正常出産で大忙しになって、高度医療施設としての役割を果たしきれなくなっているところもあるかもしれません。少子化で出産はどんどん減るのに、ハイリスク出産は減るどころか増えています。そして中小施設の産科に「難しい出産は避けたい」という気持ちが強まって、リスクの少し高い人はどんどん高次施設へ紹介するようになりました。早めの搬送はよいことかと思いますが、それにはそれ相応のベッド数が地域に必要。今のままでは、よそからの搬送も受け容れなければならない役割の高度医療施設に、その力がなくなってしまいそうです。
受け入れを断らない病院も必要か
アメリカでは、いかなる理由があっても受け入れを拒否してはいけない病院がある、と聞きます。もしかしたら、日本にもそのようなシステムが必要かもしれません。あるいは、生命の危険があり得る人を一刻を争って搬送したいケースをもっと余裕があるケースと区別する仕組みがあってもいいのではないでしょうか。今回のケースについて「早期に適切な治療をしても助かったかどうかわからない」という議論もありますが、たとえ助からなかったとしても、搬送して早く必要な手当をしてあげたかったのにしてあげられなかったというご家族の無念には、何も変わりがありません。
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