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内診はなぜ助産師でなければいけないの?(2ページ目)

8月24日、助産師にしか法的に許されていない内診を看護師におこなわせていた疑いで、神奈川県警が同県の堀病院の捜索を開始しました。なぜ看護師の内診ではいけないのでしょうか。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

お産についてくれるのは医師ではない


安全も質も今ほど問われなかった時代には、医師と看護師だけでも出産施設は成り立ったかも知れません。でも、考えてみて下さい。医師は多忙なので、陣痛中ずっとそばにいてくれるようなことはありません。

長い分娩経過をチェックするのは、助産師か看護師です。いつ突発的な異常が起きるか分からず、苦痛も大きいその時間に、内診はもちろんのこと、新生児の心音をチェックしたり、痛むお腹や腰をさすってくれたりする人がどちらであるべきかは明らかです。妊娠中の保健指導や産後の母乳育児なども、助産師は深く勉強してきますが、看護師の教育の中ではすべての科について勉強する中の一部でしかありません。

中には、すべて自分でやる医師もいます。助産師も実力が十分あるとは思えないから信じられるのは自分だけだというのです。しかしそれでは、この医師不足の時代には燃え尽きてしまうのではないでしょうか。

医師と助産師には哲学の相違はありますが、自然も、医療も、私たちの大切なものでどちらかを選ぶものではありません。医師と助産師の違いを対立ではなく補完の構図ととらえられないものでしょうか。

間違いだらけで来てしまった日本の産院選び


私は、日本の女性の産院選びは、今までこういうことを考えなさすぎたと思います。今回、助産師を十分に雇わず活躍させず、豪華な食事や入院の救急車など医療とは関係のないことに力を注いで分娩数日本一となった病院が摘発されたのは、大変象徴的です。

妊婦さんの需要がないところに、供給はありません。今、お産で食べていく人たちは、助産師を雇うお金があれば、インテリアやエステに予算を配分していく方がずっといいのです。それが顧客の需要なのです。

でもこれからは、妊娠中どんな人が自分の異常出産予防に尽力してくれるのか、お産にどのようについてくれるのか、産後はどこまで勉強している人がみてくれるのか、しっかり見て頂きたいと思います。

私は産院を見る時にどこを見るかというと、真っ先に、助産師がいるか、どんな働き方をしているかを見てきました。質素でも、分娩数がさほどなくても、助産師を必死に募集してコツコツと集めている出産施設を私は推薦してきたし、これからもそうしていくと思います。それは、そこの院長医師が、予防医学や女性の精神面にどれだけの気持ちを持っているかを知る重要な手がかりだからです。

ただ現時点では本当に助産師が不足しています。本当に先生方は苦労されていますので各方面から支援があるべきです。看護師さんも、産科で貴重な体験を積まれた方は助産師への道を目指して頂きたいです。

イラスト・平井さくら


◆ネット日記でもこの問題について書きました。こちらから
8月25日の日記をご覧下さい。

◆助産師数、看護師数がわかる産院情報にはREBORN産院リスト(※現在このサイトは閉鎖しております。)があります。助産師数の比較的多い施設が多く掲載されている方なのですが、全国的にはまだまだ助産師数が足りないところが普通です。


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