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団塊世代とジュニアは「子育て苦手」同士?(2ページ目)

育児サイト「ユウchan」「孫育て」編集長の棒田明子さんへのインタビュー2回目。自分の生活を守りたいと言いつつ孫に干渉し、ちょっと気持ちの行き違いもある現代のジジババマインドを探ります。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

大人だけで暮らす時間が長いと子育てが難しくなる


河合 今、祖父母世代と親世代の関わりを考えるとき、どんなことがポイントになりますか。

棒田 ある人類学者の人が言っていたのですが、現代は大人だけで暮らす時間が人生の中で長くなってしまったために、子育てが大変になったというんです。

河合 つまり、今は、祖父母も親も子育てが苦手。

棒田 そういうことだと思います。家庭の中にいろいろな人間がいて、絶えず関わり合い、折り合いを付けながら暮らしていくとコミュニケーション能力も高まると思うんですが、今はそういう家庭環境ではありません。すると、そこで育つ子どもも、コミュニケーションがうまくなりません。人と関わるのが面倒だという傾向が、三世代全体に広がっていると思うんです。
 それなら、お互いに自分の生活が大事という考えなのだし、生活の中でこちょこちょ関わってくれなくてもお金をくれればそれでいいよ、という助け方になっていきます。はっきりそう言う人が増えていますね。
 同居も、完全に中が別れた二世帯住宅でなければ嫌だという人が多くて、子どもは両家を行き来するけれど、妻は月に一度くらいしか会わないという人もいます。教育ババたちが孫の用事をたくさん作っているのも、どこかに孫と会う口実が欲しいというところがあるかもしれないんです。ある方が「だって、用事がないと会いに行っちゃいけないみたいな気がして」と言っていました。

河合 そうだったんですか‥‥。

子どもたちが老人から得るもの


棒田 私は、自分自身、大事なことはほとんどおばあちゃんから教わっているんです。だから、世代間のコミュニケーションがなくなるということは子どもにとって大きな損失だと思います。これから団塊シニアの方々が、自分たちの生活を謳歌してそれで終わってしまうのか、あるいは次世代を含む社会全体に目を向けてくれるのかる私は後者であって欲しいと望んでいるんです。

河合 本当ですね。それにしても、ホントに素敵な方だったんでしょうね、棒田さんのおばあちゃん。

棒田 生粋の江戸っ子で格好良かったですよ。でも、私が小6の時に亡くなりました。最後は私のことも泥棒呼ばわりして訳がわからなくなりました。母親の帰りが遅いし、私は小学生で介護を少し体験しました。それはとても貴重な体験だったと思うんです。私はおじいちゃん、おばあちゃんに願うんですね。「老いていく姿を見せて欲しい」と。それも祖父母の重要な役割ではないでしょうか。

河合 今日はいいお話をどうもありがとうございました。


棒田さんのお話、いかがでしたか?時には「子どものため」という視点から実家との関係を考えることも必要かもしれませんね。



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