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出産は一週間も入院する必要がある?(2ページ目)

産院不足解消に向け、新しいスタイルを導入している横浜・池川クリニック。ここでは今春から2泊3日で退院するようにして受け入れられるお産の数を増やしました。院長の池川先生にお聞きしました。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

帰宅したあとも、1ヶ月健診までは受診し放題


それにしてもそんなに早く退院するのは不安だ、という方も多いことでしょう。でも退院後も、池川クリニックは一ヶ月間は無料で受診を受け付けることにしました。希望者には、これは有料になりますが、助産師の家庭訪問もしてくれます。

家に帰った人は、クリニックと違う問題を訴えると言います。経産婦さんの中には、池川先生のこの言葉に大きくうなずく人も多いはず。
「産院と家庭では環境が大きく違います。今までも、産院で母乳が出ていた人が帰宅した途端に出なくなることがよくありました。家庭でうまくいかなければ意味がないのですから、家に帰ってやってみて、そこで本当に必要な手助けがわかってくるのです」

池川クリニックでは「帰宅イコールさようなら」ではなく、ずっとつながり続けて1ヶ月健診を迎えます。ふつうは、一週間は入院できても、1ヶ月健診まで何の接触もなく過ぎていきます。実はこの期間、産後のもっとも不安な時間になりがちで、たくさんの人が母乳育児に躓き、ブルーになり、そして専門家のサポートにアクセスせずに我慢しながら過ぎてしまっています。

「自分たちでやっていくんだ」という気合いを


短期入院のお産、いかがですか?ちょっと不安?あるいは、夫があてにならない?でも、生まれたその赤ちゃんは、早晩、夫婦で、自宅で育てていかなくてはならない赤ちゃんなのです。

「自分たちでこの子を育てていくんだ、家事も協力し合っていくしかないんだ、という夫婦の気合いのようなものも欲しいんです」これも、池川先生の私たちへの問いかけなのです。今までのお産は、お医者さんに頭を下げて「先生、どうぞよろしくお願いします。私たちは素人ですので無力ですから」と言ってすませてしまう‥‥そんな態度ではなかったでしょうか。

■ガイドがこれから産むあなたに考えて欲しいポイント その2

・出産後1週間も入院するのは、医学的入院と言うより、家に帰っても主婦以外に家事労働をできる人がいないための社会的入院と言えるかもしれません。
・入院日数が減れば、産院が担えるお産の件数は増えます。

あなたは産んでから数日で自宅へ帰れますか?

■池川明先生 プロフィール
東京出身。帝京大学医学部大学院卒業。上尾中央総合病院産婦人科部長を経て1989年横浜市に池川クリニックを開業。著書に『おぼえているよ。ママのお腹にいたときのこと』(リヨン社)など胎内記憶、子育て観の本多数。



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