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遠距離出産の実際

ひとりめは自宅と職場からのアクセスで駅前の病院を決めたのに、2人目、3人目は突然交通の便が悪いところへ産みに行ったAさん。お話を聞いてみましょう。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

自宅と職場からのアクセスで決めたひとりめの出産

気に入った産院があれば、遠距離の通院も何のその?!
Aさんは3人のお子さんを出産していますが、ひとりめはアクセス優先で出産場所を決めました。フルタイムで勤務していたので、自宅と職場を結ぶ線上にあり、駅の真ん前でもあったある大学病院で出産したのです。Aさん実はその大学の他学部を卒業したOGでもあり、それはそれでごく自然な産院選びでした。

ところが出産してみると、大学病院の研修医の数の多さにびっくり。見学の医師が多いことと裏腹に陣痛室ではひとりで長時間痛みに耐えねばなりませんでした。夫は入院する時ついて行っているのですが、規則で入室させてもらえませんでした。生まれた赤ちゃんも、夫はガラス越しに見るだけ。母乳のことを相談しても「ミルクをあげて」と言われるだけでした。

出産場所を考えるとき、アクセス以外にこんなにいろいろな要素があったということを、Aさんは、一度出産を体験して初めて知ったのです。

やっと見つけた産院は1時間とちょっとの距離

ふたりめを出産するときは違うところを探し出したい、とAさんは情報収集をはじめ、本に出ていた都内のある助産院に惹かれ始めました。妊娠してから実際に行ってみるととてもあたたかい雰囲気でした。距離への不安をカバーしてまだ余りあるほどの安心感を感じてしまったのです。

Aさんは、自宅からより実家の方が近いことに気づき、週末に実家へ帰ることを兼ねて通院することに決めました。自宅から助産院へは1時間ではちょっと着かないくらいの距離でしたが、ゆったり構え、帰りは実家に1泊して帰ったりしました。

家族のストレスに「私はわがまま‥‥?」

家族は「お産の時、もし間に合わなかったらどうする?」とやはり心配したので「私はわがままを言ってみんなを困らせているのかも」と思ったことも。でも、夫も実家も、ひとりめの出産で廊下で待つしかなかったことが残念だったらしく、しだいにAさんの気持ちを汲んでくれるようになりました。

そして陣痛が来た夜、ちょうどAさんは実家に泊まっていました。妹さんが運転する車で助産院に向かい、夜だったので、1時間もかからず到着して、無事に出産。念願の家族水入らずの出産が実現!

陣痛を疑うくらいの段階で、早めに移動

3人目も同じ助産院で出産しました。このときの陣痛は自宅にいたときに始まりましたが、「あやしい感じ」という程度で電話で相談したところ、早めに移動しようということになり、電車で入院しました。この時、子どもをつれて、入院かばんをもって、鈍い痛みが繰り返す中を大した不安なくAさんが入院できたのは、3人目の自信と、通い慣れた、人間関係のしっかりできた助産院が待ってくれている安心感だったのではないでしょうか。

努力は、きっと実る

Aさんのお話を聞いて私が思うことは、確かに遠距離出産は大変だけれど、苦労というものは値打ちがある、ということです。遠距離出産は、もちろん、できれば避けたいことでしょう。でも、そこが本当に産みたいところで、努力に価すると思ったら、産院と相談の上で勇気を出すのもいいかもしれません。

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