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イラスト・平井さくら  
妊娠中の女性、お腹の赤ちゃん、新生児に特有な条件をふまえた感染症対策を、産婦人科医でインフェクション・コントロール・ドクター(感染予防医)認定医の小島俊行先生(三井記念病院産婦人科部長)にお聞きするシリーズです。

妊娠20週までの感染と流早産が心配


妊娠中の人が初期に水痘(水疱瘡)にかかると、赤ちゃんの脳、皮膚、四肢に障害が出ることがあります。大体12週までの感染だと3~4%、20週までだと2%の赤ちゃんに、このような「先天性水痘症候群」の出る可能性があります。

また、妊娠の全期間を通じて、流早産につながる可能性は続きます。早産になったときには「周産期水痘」という、大変な問題があります。これは、分娩の5日前から2日後のあいだにお母さんに発疹が出た場合を言います。

赤ちゃんの死亡率が高い「周産期水痘」


この病気は、感染すると体内でウイルスが一気に増え、それが減ってきたときに抗体ができてきます。周産期水痘に当たるタイミングで出産になってしまった場合、母体内にはまだ抗体がありません。それで赤ちゃんは、ウイルスだけをたくさんもらって生まれてくることになります。少し前にずれればウイルが少なくて助かるし、少しあとにずれてくれれば抗体がもらえるのですが‥‥。

そんな状況で生まれてきた赤ちゃんは、2割くらいが亡くなってしまいます。生まれてから「アシクロビル」という抗ウイルス薬を点滴するのですが、水痘ウイルスの方が勝ってしまうこともあるのです。欧米では、他人の抗体を入れる「受動免疫療法」がおこなわれていて成果が上がっているのですが、日本ではまだ使われていません。

>>次は水痘の感染力とワクチンについて紹介します>>