羊水検査はあまり意味がない
お話しいただいた小島俊行先生 |
羊水検査をして、羊水に風疹ウイルスがあるかどうかを調べる手段もあります。しかし、羊水検査は3%の割合で流産する可能性があります。それに、実は、ウイルスがいても赤ちゃんが先天性風疹症候群にかかる率は半分くらいしかないのです。
逆に、ウイルスがいないという結果が出ても、それは感染から時間が経っていないのでまだ羊水に出てきていないのかもしれません。これは、危険を冒すほどの検査ではないと考えられます。
医学が進歩する未来を考えて
また、先天性風疹症候群がどういうものかを考えてみましょう。先天性風疹症候群は白内障、心疾患、難聴が三大症状ですが、今では人口のレンズができていて、白内障だけで失明する人はいなくなりました。心疾患もかなり治療できます。難聴は人工内耳がやっとでき始めたところなので治るとは言えませんが、将来的には治癒の望みも持てます。
発疹が出た時期も問題です。妊娠6週、8週あたりだと赤ちゃんに病気が出る割合が高くなりますが、20週以降に発疹が出たようなら、まったく心配ありません。
妊娠中の風疹感染はとても難しい問題です。しかし、このような悩みは持たないで済むのが一番です。事前の用心があれば、こうした悩みを防げます。早く、風疹抗体の知識、意識がもっと広がって欲しいと思います。
【東京都内で感染症の専門的な相談ができる二次施設】
三井総合記念病院産婦人科
国立成育医療センター周産期診療部
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◆このシリーズは、小島俊行先生(三井記念病院産婦人科部長)にご協力をいただいてお送りします。
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