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母乳中にペットボトルの溶出物

ペットボトル、カップ麺の容器などプラスチックの食器には環境ホルモンのBPAが含まれています。これが母乳の中にも出ることがわかりました。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

102名の母乳でビスフェノールA(BPA)を測定


女性の初乳から、プラスチックの原材料であるビスフェノールA(BPA)が検出されました。BPAは1998年に環境庁(現・環境省)が環境ホルモンとして指定した67種の物質のひとつです。

最新の測定技術が微量の測定を可能にしたばかりで、害や安全な範囲についてはまだ明らかになっていません。それでも「赤ちゃんに尿道下裂(男性性器の女性化)が増える」という報告があり、乳ガン細胞、女性ホルモンへの影響も疑われています。

ペットボトルを飲んだ人には統計学的有意差


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ペットボトル飲料を飲んでいた母親(78名)の初乳からは3.59ng/mlのBPAが検出され、飲まなかった人(24名)の2.72ng/mlより有意に高かった。
調べたのは、静岡県立大学看護学部の立岡弓子さん。人体のBPAについては、これまで血液、臍帯血、羊水が調べられていますが、母乳で測られたのはこれが初めてです。

立岡さんは、102名の母親の初乳を、分娩後3日目に採取し、その中に含まれていたBPAを測定しました。また、その価が「BPAを使用した容器を使って飲食していたかどうか」で変化するかを見ました。

BPAを使用した容器を使ったかどうかを知るため、初乳を提供した人に聞いたことは、「コンビニ弁当を食べていたか」「カップめんを食べていたか」「ポリカーボネイト製容器を使っていたか」「ペットボトル飲料水を飲んでいたか」「缶コーヒー飲料を飲んでいたか(缶飲料だが、コーヒーは缶の内側にBPAを含むコーティングがしてある)」の5項目。

結果は、ごく微量であるものの、すべての初乳にBPAが出ていることがわかりました。そして、BPAを使用した容器を使っていた人は価がやや多くなっていて、特にペットボトルの場合は、統計的有意差=「明らかに差がある」と統計学的に判断される差がつきました。

現代人なら、誰もが頻繁に摂取しているBPA。これとまったく無縁に生きていくことは、母親も赤ちゃんも難しいことでしょう。でも、立岡さんはこう言います。「妊娠・出産をする人は、この物質について、もっと知識を持つべきではないでしょうか。BPAは、本人の心がけで、摂取するかどうかを決められるからです」

■続きの記事を読む
BPAの摂取量を減らすには?




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