この調査について
調査では、陣痛促進剤投与など出産中におこなわれた医療行為を調べました。実は、これはとても貴重な数字です!
このような実態調査は、1999年、協力が頼めた出産施設を通じた全国調査がありましたが、それ以外にないのです。今回は、狭い範囲ながら、保健センターを使い、施設の特徴により左右されにくい形で実態をとらえたといえます。
出産中の医療行為の実施状況
【回答者数】初産婦248名 経産婦 205名 合計453名
吸引分娩 18.5%(初産婦) 2.9%(経産婦) 合計 11.5%
会陰切開 71.0%(初産婦) 47.8%(経産婦) 60.5%
点滴 50.4%(初産婦) 40.7%(経産婦) 60.5%
剃毛 55.2%(初産婦) 40.7%(経産婦) 52.5%
導尿 47.6% (初産婦) 29.4%(経産婦) 42.2%
陣痛促進 23.8%(初産婦) 7.3%(経産婦) 17.0%
薬で陣痛を強くすること
陣痛誘発 13.7%(初産婦) 7.3%(経産婦) 11.5%
薬で、陣痛の来ていない人に陣通を起こすこと
腹部圧迫 26.2%(初産婦) 12.9%(経産婦) 21.4 %
「クリステレル児頭圧出法」というお腹を上から押して赤ちゃんを出す処置
初産・経産の数字を比較すると、初産では、会陰切開は経産の1.8倍、陣痛促進はなんと3.3倍も多く実施されていました。ちなみに、今回調査に答えた初産婦さんたちは、全体の18.5%が「微弱陣痛」と診断されていました。これは経産婦さんの6.8%に較べ、かなり多くなっています。
調査からわかること
調査で見ると、自然なお産をしたい場合、初産の人は経産婦以上の身体づくりが必要そうです。また、薬の使い方について医療者としっかり話ができる、慎重な産院選びも、より必要。
平均で見ると、最もおこなわれているのは会陰切開、点滴、剃毛で、大体5人に3人が受けていました。陣痛促進剤は、5人に2人弱、というところでした。
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この会陰切開や陣痛促進の数字は、1999年の全国調査よりやや多くなっていました。全国調査の調査対象がどのような都道府県に分布していたかはわかりませんが、県によって若干の違いがあることは考えられます。
この記事は、下記の文献をご紹介しています。
『茨城県における出産の実態と満足度に関する調査』 加納尚美、島田智織、小松美穂子、永瀬つや子、楠見由里子、佐々木美智子、山崎京子、阿部真理子、宮澤順子/茨城県立医療大学紀要第9巻:1~10
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