●病院が個人開業医にも開放される
オープンシステムとは、大きな病院を、個人の先生も使えるようにするシステムのことです。
欧米ではオープンシステムという言葉もないほど、これが当たり前です。欧米の産科医は、市中にオフィスを構えてそこで妊婦健診をしますが、陣痛が始まったら、医師と女性は提携病院に行きます。そこで、病院の設備、看護師、若手医師などを使って出産します。
個人開業の医師にかかっている人が病院で出産するメリットは、マンパワーの大きいところで出産できること。それから、今、個人産院でお産を扱うところが減ってしまっているのですが、分娩設備を持ったり夜中のお産に備えての人件費が要らなくなれば、お産に関われる個人産院も減らないかもしれません。
●日本でも始まる?
日本でも、一部の病院では、これに近い試みが始まっています。特に静岡県浜松市はオープンシステムの病院が多く、妊婦健診はたくさんしているけれどお産はしていない、というクリニックもあります。
厚生労働省も昨年から、このオープンシステムを推進の方向で研究していくことになりました。厚生労働省は最近、病院がクリニックと連携することを奨励する保険点数の加算などを設けて成果をあげています。
ただ日本の場合、まだ根付いていないことですから、お産の時には病院の医療者だけで赤ちゃん取り上げることがほとんどです。女性にしてみれば知らない人の間で産むことになってしまうのが欠点です。
本当はかかってきた医師が来て欲しいところですが、医院の外へ出かけるのも、個人産院を営んでると実際には大変です。まだコンセンサスのある料金システムが確立されていないところも問題です。
●選択肢のひとつとして
ただ、いずれにせよ、「どこで産むか」を決めるのは妊婦さんの基本的権利です。産み場所の選択肢は今より多様化していくかもしれませんが、ひとりひとりが「そこではどんなお産ができるか」をよく知り、決めていくことが大切だと思います。
毎日インタラクティブ(毎日新聞のサイト)
子育てニュース
[産院革命]/上 大病院と提携する「オープンシステム」=河合蘭
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