妊娠8週くらいまでに、赤ちゃんの心音が超音波検査で確認されるか。ここが妊娠の一里塚です。東京大学医学部附属病院女性診療科・産科講師/藤井知行先生に流産についてお聞きしました。

流産にはいろいろな姿がある

藤井知行先生"
東京大学医学部附属病院女性診療科・産科講師/藤井知行先生
流産が実際に起きてどのような道筋をたどるかは、人によって違います。時期で考えると、妊娠12週0日を境に、それ以前の流産を「初期流産」、12週以降のものを「中期流産」と分けることができます。しかし、流産の9割以上は、受精卵の異常によって起きる初期の流産です。

流産に気がつくきっかけはさまざまです。出血、腹痛などの自覚症状で気づくこともありますし、最近は、妊婦健診の超音波検査でわかるケースが多いでしょう。

赤ちゃんの心拍は、妊娠8週頃に見えるはず

超音波検査で流産していないかどうかを調べるポイントは、赤ちゃんの心臓が打っているのが適切な時期に見え始めるかどうかです。心拍は、通常妊娠5~6週から見え始め、8週くらいになっても見えないと流産の診断を確定せざるを得ません。

「稽留(けいりゅう)流産」と呼ばれているのが、このケースです。超音波検査が普及したため症状がまだ出ていない早い時期に流産が見つかるようになったのです。

実感がないので納得出来ないことも多いと思いますが、そういうときは、気持ちの整理をつける時間を取ってもいいでしょう。ただ、その状態を放置しておくと、子宮は必ず収縮し始め、腹痛や出血が起きて「進行流産(流産が進行している状態)」となります。

流産が進行した結果、子宮の中のものは押し出されます。完全に出た場合は完全流産、一部が残ってしまった場合は「不全流産」と呼びます。

「切迫流産」は、流産の仲間ではない

「切迫流産」というものも、あります。超音波がなかったころは、流産と似た出血、腹痛の症状がある人に、この病名をつけていました。しかし、今では、そうした症状があっても、赤ちゃんの心拍が超音波で確認できれば、流産しないことがわかっています。ですから、これは流産ではありません。