お産が短くても、産後の失禁は変わらない
出産の条件と産後の失禁の関係についていろいろ調べているのですが、なかなかわかりません。現在のところわずかな差が見つかったのは、年齢と出産回数です。35歳以下で初産の人は、ややリスクが減るようです。
リスクが高くなるのは、遺伝的に、筋肉中のコラーゲンが弱い体質の人、重いものを持つ仕事の人です。また、会陰切開や吸引分娩は、骨盤内の筋肉や組織にダメージを与え、尿失禁のリスク要因になると言われています。
お産が早く終わるような医療処置をすると尿失禁や子宮脱の防止に効果があるように言われてきましたが、最近、海外では医師の代表的な教科書からその記述が消えています。効果なしとする研究が増えているからです。私たちの病院でも、子宮口が全開してから誕生になるまでの時間(分娩第2期)が長い人の方が、かえって産後の失禁が少なくなっています。
子宮脱とは?
ただ、自然出産をしても、尿失禁の予防になると言えるところまではいきません。経膣出産をせずに帝王切開で出産しても、妊娠は16週継続しただけで失禁を増やす、と報告されています。
さらに、心配なのは、子宮脱へ発展してしまうことです。子宮脱とは、子宮が産道の中に落ち込んでくることで、ひどくなると体外に出てしまいます。命に別状があるわけではありませんが、女性の老年期を暗い気持ちにしてしまういやな症状です。
尿失禁がある人全体を調べた調査では、4割の人が、程度の差はあれ子宮脱を併発していました。このような心配を減らすには、骨盤の中にある「ハンモック」を強くすることが大切なのです。
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骨盤の中にある「ハンモック」の秘密
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