6月29日、冷凍母乳パックなど母乳グッズを作っているメーカー・カネソン本舗のセミナー「楽な授乳の提案」に行ってきた。講師のおひとり・北野寿美代さんは、昨年『おっぱいでらくらくすくすく育児』という本を出され、その中で数々の母乳がもっとラクになるヒントを教えている助産師さんである。
北野さんが教える「らくらく授乳」はとてもシンプルで、たった三つの基本から成っている。
1.赤ちゃんの顔が、おっぱいにまっすぐ正対していること
お顔がまがっていると、乳首のくわえ方が浅くなりがち。偏ったくわえ方をすることにもなり、無理な力が加わったところが傷になる。
2.赤ちゃんのカラダがよじれていないこと
大人でも、首だけ横に向けて食事するのはつらい。赤ちゃんも、それでは正しく飲んでくれない。
3.お母さんが楽な姿勢をとっていること
前屈みはつらい。もたれたり、赤ちゃんを堅めのクッションに載せて高くし、胸の位置につれてくるのも大事だ。
以上の基本が守られていれば、どんな姿勢でも自由にしていいという。添い寝、添え乳だって、立派な、正しい授乳姿勢だ。北野さんは、疲労が激しい出産直後の数日は、9割方添い寝でいいと考えている。
おもしろいのは、ふと思いついたというテーブル授乳だ。テーブルにバスタオルを敷いて、赤ちゃんを載せて授乳する。赤ちゃんのからだをお母さんのからだに密着させ、赤ちゃんの口と乳首の高さを合わせるのがポイント。敷いているバスタオルもしくはお母さんの座布団で高さを調節しよう。
テーブル授乳の良さは、赤ちゃんの重みを全部テーブルにあずけられてラクだし、授乳しながら両手で何でもできることだ。書き物もできるし、パソコンのキーボードも打てる。
北野さんは、病院の助産師だったときは、授乳の苦労はよくわからなかったという。でも開業して自治体の新生児訪問をするようになり、そこで初めて、夜も昼も無理な姿勢で長時間授乳をし続け、乳首が傷つき、心身共にくたくになっている人をたくさん見た。
「母乳が大変、ってこぼしたら母性本能が足りないみたいに思われちゃう」と我慢している人も多かった。その我慢が、実は、疲労、ストレスとなり、母乳不足やトラブルのもとになっているのに。
リラックスしてこそ、母乳は産出される。母乳を作るホルモンは、母親が楽にしていないと出ないのだ。らくらく授乳に、賛成!
写真上・赤ちゃん人形を使って説明する北野寿美代さん 助産院 北野ミッドワイフリー(愛知)
写真下・『おっぱいでらくらくすくすく育児』金森あかね監修/北野寿美代著 メディカ出版 2002 ¥1,400
イラスト・平井さくら
取材協力・カネソン本舗 ホームページ「おっぱい育児WEB」
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