企業年金・401k/401k企業型の運用のポイント

401k資産運用テクニックの基本のキホン(4)(3ページ目)

401kの運用基礎講座です。第4回目は「投資信託の活用」です。投資信託の基本的な選び方、買い方を401k運用に特化して解説します。バックナンバーと合わせて読んでくださいね。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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「投資信託の買い方」編

次に投資信託の買い方や売り方の考え方を説明します。一日に何度も売り買いする必要なんて全くありません。

●タイミングで売り買いはNG
さて、実際の投資信託の売り買いですが、まず401kに向いていないのは「売ったり買ったりを繰り返す」です。投資といえば売り買いを何度もやるもんだと思いがちですが、そんな決まりはありません。

投資信託は仕組み上1日に1回しか値段がつかず、売買もすぐ成立しません(翌日や翌々日に処理される)。つまり、今日株価が下がっているから買おうと思って指示を出しておいても、実際に購入される明日には株価が戻っているということもあるわけです。

401kの運用ではむしろ、「ゴールは60歳だしのんびりいこうか」くらいの気持ちで、大きく利益を取る方向を目指していきましょう。9000円の今買って、10年後15000円なら売ればいい、くらいの気持ちになればいい感じです。

●401k運用では、一点買いはNG!
また、投資というと「○○が買いだ!有り金ありったけいれろ!」みたいな一点買いのイメージがありますが、投資信託を活用した401k運用では、こうしたアプローチはおすすめしません。なぜなら、大勝ちする可能性もある一方で一点買いは「大負け」する可能性もあるからです。

401kの資産運用は老後の資産を堅実に増やすことを目指します。リスクを取って投資信託を買うとしてもギャンブルをするのとは違います。そのとき、一点買いは大負けリスクを背負うことになるので避けたほうがいいのです。

基本的なやり方としては、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券の4つをほどよく組み合わせていくのがセオリーです。投資信託も、何本も買ってもいいわけです。(無条件で10本を10%ずつ、はNGですが)
最初から株も債券も国内も海外も少しずつ組み合わせて買ってくれる投資信託もあります(バランス型と呼ばれることが多い)。これについてはブレンドの割合を見て自分の好みに近いものを買うといいでしょう。また運用の手数料が明らかに高い場合がありますので、この場合は自分でそれぞれの商品を買うのも方法です(国内株40%、国内債券25%、外国株20%、外国債券15%のバランス型ファンドを買わずに、同じ割合でそれぞれ運用する投資信託を購入すれば同じことになる)。

●基本的には「インデックス」買い
前回投資信託選びのところでもお話しましたが、悩んだときにはインデックス運用の投資信託を買えばいいでしょう。また、毎月の掛金で新規購入する購入割合を決めたらあまりいじらずのんびり運用を続けていけばいいと思います。

アクティブ運用をしないことで、こまめにチェックしなくてもよくなり、これは普通の会社員の資産運用としては助かることだと思います。
逆にいえばアクティブ運用を組み入れる場合は、ある程度こまめに資産状況をチェックしていくことが必要です。

●基本的には「毎月コツコツ長期投資」
そして、「すでに積み上がった資産の運用」と「毎月定期的に購入する掛金での新規購入」との2つをバランスよくチェックしながら運用を続けていきます。すでに説明したとおり、ひんぱんな売り買いは401kには向いていませんので、前回説明した「投資の割合」をチェックしながら長期投資のスタンスで臨みましょう。運用方針にもよりますが、資産全体で一時的に10%程度の元本割れはありうることです。

例えば、今の経済状況は「すでに持っている資産は目減りする」状態ですが、視点を変えれば「新しく買う分は安く買える」状態ともいえます(もちろん将来回復するとして述べていますが)。いつか経済が回復すると思うのであれば、今は「すでに積み上がった資産」は無理に売らず(売ると損失確定するばかりです)、「新規購入の掛金」は投資信託の購入を続けていけばいいわけです。

■   ■

401kに最適化された運用テクニックは、いわゆる株の売買指南書では説明されていません。私もいずれしっかりとしたテキストをまとめてみたいと考えていますが、こうしたコラムをひとつの参考にしていただければと思います。

(シリーズバックナンバーはこちら)
→「401k資産運用テクニックの基本のキホン(1)
日本版401k(確定拠出年金)の運用ルールのキホン
→「401k資産運用テクニックの基本のキホン(2)
日本版401kにおける投資信託活用のキホン
→「401k資産運用テクニックの基本のキホン(3)/
実は難しい、投資する割合の決め方

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